しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。
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2012年4月4日水曜日

赤すね物語

これは3月2日に播種したなかから選抜、仮植したrhubarb。その後続々と播いた育苗箱のものも選抜し始めているが、どうも水をたっぷりやってしまうと赤の鮮やかさが薄くなってしまうような気がする。これは多分、水分が多いと肥料分、ことに窒素の吸収も多くなるので、クロロフィル(葉緑素)の生成が多くなり、アントシアニンの生成が少なくなるからかもしれない。
だいたいがアントシアニンによる赤い色は、紅葉がそうであるように、秋になって気温が低下すると窒素の吸収が少なくなり、アントシアニンの生成が活発になる。春から夏への気温上昇期にあっては、むしろ窒素の吸収量も多くなり、葉緑素、クロロフィルの生成が多くなるので緑が濃くなる。

だから、このように赤い色を発色するのはまだ気温が上がるまえの5月6月前半と、10月末ころの霜が降りる前であって、気温30度くらいの真夏にはどうしても緑色が強くなってしまう。
そこで、真夏にも赤を発色する株を探し出そうという試みだが、なかなかむずかしい。多分、死ぬまでに見つからないかもしれない。


他方、こちらはソバ。茎がとても赤いし、細い。ソバの茎は普通はもう少し茎が太い。
これをソバの赤すねといい、昔からあまり誉められない。
なぜ、誉められないかというと、要するに、赤すねが一種の栄養不良状態をあらわしているからである。
ある場所で、ソバの赤すねはストレスが原因だと明言する人がいたが、どうもストレスという言葉は使うには都合がいい言葉だが、どうも真実を覆い隠してしまうような気がして信頼できない。
私が知りたいのは、どういうストレスからソバの茎が赤くなるか、である。
ソバが十分に栄養を吸えない状況、それはひとつだけではない。
先ずは土壌に肥料分そのものが無い場合、あっても土壌酸度が強くてそばの根が肥料分を吸えない場合、あるいは旱魃で水分が少なくて肥料分が吸えない場合、気温が低くて十分に肥料が吸収できない場合、排水の悪い畑で水分が多すぎて根が張れず栄養が十分に吸えない、などぱっと考えただけでこれだけのケースが出て来る。
ソバ畑の周囲だけが赤すねで、畑の中のソバは茎が青いという場合などは、明らかにそこだけ乾いて水分が不足するからであろうし、あるソバ栽培地で目撃したことだが、ソバの茎の周囲にびっしりスギナが生えていて驚いたことがある。
スギナは土壌が酸性であることを教えてくれる植物であり、スギナが生えている土地は酸性が強いのでほうれん草などは発芽はするが、成長できずにやがて消えてしまう。他の作物でも土が酸性だと根の伸びも悪いし肥料分の吸収も悪い。だからソバの茎も秋の終わりのような赤い色になってしまう。
しかし、ソバの赤すねが必ずしも悪いとは思わない。確かにやや栄養不良状態であるから収量は多くならないだろうけど、ソバの実は過剰な窒素吸収をしていないので、味はいい。
標高1000m以上の高冷地で栽培されたソバがおいしい蕎麦になるのも、高冷地ゆえに栄養状態が存在すれすれの栄養不良状態で子実の充実をはかるからではないか。
いずれにしても窒素を十分に、あるいは過剰に吸収させられた植物はみな味が悪い。米もそうであるし、野菜もそうである。
葉物野菜などは窒素過剰であれば苦味さえ感じる。
窒素の多い畑で2mにも伸びたソバから獲れたソバ粉は実に不味かった。
窒素の過剰吸収は確実に味を落とす。
吸収された窒素や他の養分が光合成によってしっかりとデンプンやタンパク質に転化させられたソバの方が、未消化の窒素や養分のまま収穫されたソバよりもおいしいに決まっている。
だから、ソバが赤すねであることをまったく否定的に見るのは間違っているのだ。
収穫前になってほどほどに赤い茎のソバを作るべきなのである。

それにしても、早春や晩秋に茎が赤くなるのは気温と窒素吸収の相関関係から納得できるにしても、真夏でも鮮やかな赤を発色するというのは、どういう仕組みからなのだろう? 単に遺伝的形質? ううむ。
趣味の領域を越えて偏執狂的であります。 

2012年3月29日木曜日

どこまでも怪しくいかがわしい

ルーバーブの播種、ついに14箱め。12箱でA株から採種した種は終了し、13箱目からはB株の種になった。A株だけでやめておいてもいいのだが、多分、種が終わるまで「どうにも止まらない」。はっきりいってかなり重篤な病気である。
2~3箱めが発芽後1週間ほどになり日光を浴びて茎が赤くなりはじめた。今が間引きのチャンスで、すうーっと赤くなったものを残し、ぐずぐず中途半端な色をしているものや緑色のものは容赦なく抜いて捨てる。
1箱に300本発芽しているとして、1%だと3本、2%で6本、その程度を残しておいてポリポットに仮植すればいいのだが、1箱目は40本も仮植してしまった。こんなに残して仮植したのでは14箱×40=560本で、とてもとても多すぎる。
どれを間引いてどれを残すか、科学的根拠というよりは、一瞬見て赤味の濃いものを残し、薄いものを間引くという、単なる感覚、勘しか頼りにならない。
せいぜいが、赤い、太い、長い、この三つ。
どうにも怪しくいかがわしいブリーダー(育種家)ではあります。

そういえば、昨年、代理耕作したTさんの水田、今年も代理耕作しなければならないようだ。どうやら、今年こそほんとうに、4月に入ったら放射線治療に入るらしい。それも隣県の病院に入院して。
となると、TさんのN原の畑半分もまた私がソバを作らざるを得ないような気がする。放射線治療を終えて元気になったTさんが晩秋から年末に打つソバ粉がなくてはまずいだろう。
半分は昨年同様Fさんが西瓜を栽培するだろうから、残る半分は私が責任を持たざるを得ない。
しかし、半分でも信濃1号で200kg、在来種でも150kgくらいの収量は見込めて、しかもTさんに上げた残りを昨年のように製粉会社に売ったのでは1kg200円にしかならない。腹が立つのであそこには絶対に売りたくない。
さて、どうしよう? 
あのつらい刈り取り作業と脱穀作業を共同作業してくれるひとと、安価に玄ソバかそば粉を購入してくれるひとを募る?

2012年3月2日金曜日

ダッタンそば、再び

たまたま忘れることもあるが、いまだにダッタンそばの粉をお湯に溶いたものをマグカップに一杯飲んでいる。ダッタンそば茶というものが販売されているが、それよりダッタンそば粉を溶いて飲む方が効率的であろうと「ダッタンそば湯」にして飲み始めた。もうほぼ一年くらいになる。
たまたま、一昨年ある都道府県で開かれたソバセミナーの資料に目を通していたら、ダッタンそばについての講演が記録されていた。
すでに知られていることだが、ダッタンそばはソバの100倍もルチンを含有しているというが、水に触れるとルチン分解酵素の働きでルチンが苦味のあるケルセチンに変化してしまう。
ルチンがケルセチンになろうが効能は失われないので構わないが、とにかく、水に溶くと
苦くて飲めない。沸騰したお湯に溶くとダマが出来てしまう。いちばんいいのはどうやら80℃くらいのお湯で溶くと、溶けもいいし苦味もあまり出ない。要するに熱処理するとルチン分解酵素が失活するらしい。

昨年はダッタンそばの栽培は大失敗して発芽したもの1本という惨憺たる結果だったが、今年も少なくとも自分が一年間飲用するだけの粉が出来るくらいの栽培はしてみよう。一年間で数kgあればいいので、玄で5~6kgくらいも収穫できればいい。
種は1dlもあればいいだろう。もう購入先は決まっている。

2012年2月9日木曜日

ソバの退化と進化に関するどこまでも非科学的類推

様々な在来種のデータをながめていて、実に興味深いのはその粒の大きさや形の差異である。
かたや1000粒で20gに満たないソバがあるかと思えば、その倍近いソバもある。早い話が同じソバでありながら猛烈な小粒と猛烈な大粒が存在する。無論、大粒といってもコルヒチン処理して出来た信州大粒や宮崎大粒のことではなく、普通に大粒、小粒なソバに限定しての話なのだが、私はこう類推してしまう。
先ずは小粒種。これは多分、狭い場所で交雑することもなく同じ玄ソバを7~8年、あるいは10年以上作り返してゆくと、自然に小粒化する。これは収量という視点からは一種の退化であるが、小粒はおいしいという視点からは進化である。
他方、同様に同じ玄ソバを作り返している場合でも、広い場所で交雑しやすい環境にあり、しかも栽培者が収量を多くしたいがために、次年度に播種するための玄ソバを意識的に大粒を選抜しては播くといった操作を続けていくと、多分そのソバは大粒化してゆく。そうやって収量が多くなれば、収量という視点からは進化、味が大味にあるという点では退化ということになる。

江戸風のデンプンが多くコシや喉越しを重視する蕎麦打ちであれば大粒のソバ、風味を重視する蕎麦ならば小粒のソバ。方向性からいうと反対方向に分かれる。

ほかにも土壌の肥沃度、痩せ度、気温および標高、日射量などの条件で変化してゆき、かくしてそれぞれの土地ごとに微妙に個性の異なるソバとなってゆく(と、どこまでも非科学的な類推ではあります)。

2012年2月8日水曜日

もう少し厳密に

不意にソバの実の成分について知りたくなったので、デンプン、たんぱく、脂肪酸、酵素などについて書かれた文章を読み始めたが、理系のひとの文章は何とも読みにくい。
またある政府機関のウェブからダウンロードしたエクセルファイルを開いてみているが、 すべての品種に 1000粒重、リットル重などのデータが記載されていないのが残念。
1000粒重は1000粒の重さを表わし、数字が大きいほど大粒、小さいほど小粒という判断が出来る。リットル重は容量1リットルで重さがどれだけあるかを表わしているので、数字が大きいほど実が充実していると判断できる(粒の大小で隙間の差があるので、厳密に比例しているとはいえないが)。このリットル重が計測されないのか、書きこまれているのが少なすぎる(泣)。
タンパク質の項もあるがその数値が記載されているのはほんとうにわずか。ここに含有タンパク質の数値がすべて記載されていたら、どの種類が旨いか不味いか、一目瞭然ではありませんか。
各県の農業試験場の皆様にもう少し厳密にデータを取っていただけたらなあ。(ただのひとりごとですw)

拡大鏡片手に、マイ小そばともいえる種子をようやく50g選抜した。これをさらに厳密に選抜して25gにして、それを今年K在来を採種用に播種した場所に隔離して栽培してみて、どんな実がつくかを検証してみたい。それで播いた種と同じ形質の実が収穫できればいよいよMyソバの誕生になるし、ルバーブの種のように百粒が百粒、形質の違う実になったら、MYソバ育成は断念しよう。

2012年2月7日火曜日

何とも臭くて不味い蕎麦に関する非科学的類推

うまいはずのソバがこれほど段違いに不味いのは初めてだった。
昨年、栽培したソバのうちのT在来がそうだった。
春に栽培した馬鈴薯を収穫した後地に播種したせいか、播種時期が早すぎたせいか、とにかく草丈2mまで伸びてついにはそれぞれが隣の畝のソバに寄りかかり、倒伏してしまった。
その上、いつまでも花が咲くばかりで実がつかない。

● その原因
1 チッソ分が多すぎた。
2 西日本の品種であるから播種時期を一週間か十日遅らせるべきであった。

それでも霜が降りるまで刈り取りを遅らせたら、21坪で8kgの収穫があった。
その県の農業技術センターのT在来に関する色調、食味などの検査結果では、他の比較品種に比べれば味覚センサーによる苦味、苦味コク、旨味、旨味コク、渋み、渋み刺激などの数値が抜群に良い。ことに苦味と苦味コクが強い。これが粉になると甘皮のあたりの強いナッツのような風味になるのだと期待していた。

ほどほどに乾燥してきたので1kgほどを製粉し、早速蕎麦にして食べてみた。
しかし、最後まで食べられなかった。
風味を感じるとか、味わうとかいう蕎麦ではなかった。
何か、もやもやと臭いのである。こんなに臭くて不味い蕎麦は生まれて初めてである。
その悪臭はすぐに9月の花盛りの在来種のソバの花から放たれる蜜の匂いを思い出させた。
一昨年まで信濃1号しか栽培しなかったので知らなかったが、在来種のソバの花の蜜の匂いは繊維だけでなくタンパク質を含んでいるような、堆肥臭いような、うんこ臭いような匂いがもやもや発散されることを、9月になって気づいたのだったが、あのソバの蜜の匂いに近いものが、蕎麦を噛むたびに口の中でもや~と生じて鼻に抜けてゆくので、かなりの蕎麦好きなのに、ざるの上の蕎麦すべてを食べられなかった。

その原因をずっと考えていた。
1 花が咲いても実にならないのは、まだ日照時間が長いことや高温が続いていることが原因で、それを避けるためにはもっと標高の高い場所で栽培するか、播種時期を1週間~10日くらい遅くする。
1 チッソが過剰のため、ソバの植物体に吸収され、本来はアミノ酸やタンパク質に変わる硝酸、亜硝酸、アンモニアなどのチッソ分の同化作用が間に合わず、硝酸や亜硝酸などの未消化チッソのまま残存していて、それらが悪臭のもととなっている。(ただのしろうとの類推です)

ということで、ことに西南暖地のソバを播く場合は、播種時期を遅らせること。
そしてどのソバにも共通することだが、実がつきはじめる頃には茎が栄養が切れて「赤すね」になる程度の軽い飢餓状態にしておいた方が、チッソの同化作用がきちんと行われて内にデンプン、外にタンパク質がぎっしりつまったソバの実となる。
気温が暖かかったり、水分が多かったり、もともとチッソ分が多かったりすると、茎や葉は霜に遭うころまで営々と葉緑素いっぱいの緑色で栄養生長を主体にしていて、実をつける生殖生長に切り替わらない。
甘いトマトを栽培するのに水と肥料をぎりぎりまで制限する。ソバも同じことで、栄養をぎりぎり制限されたり、気温が低かったり標高が高かったり、旱魃で栄養が吸収できないとせっせと少ない栄養を同化してデンプンやタンパク質に変えてゆく。
そういえば、旱魃でソバが不作になり大騒ぎになった三、四年前のソバは、香りも味も純で明瞭で実に蕎麦がうまかった。
蕎麦会でM君がひとくち蕎麦をすすり上げて、いきなり椅子から立ち上がり、「蕎麦の香りがする!」と叫んだ、あの年だ。
不作の年の蕎麦の方がおいしいのかも。

早播きとチッソ過多の蕎麦は、栄養生長が盛んになりすぎ、すんなり生殖生長に移行できないので実のつきも悪いし、風味も悪い。
山の天辺の、赤土でスギナが群生するような痩せ地の蕎麦は早くに生殖生長を始めるので実にデンプン、タンパクがぎっしり詰まり、旨い。
今年のソバ栽培では、風味がすっきり際立つ蕎麦をめざして、これらのことに留意しよう。

2012年2月3日金曜日

ソバ栽培に関するどこまでも非科学的類推

昨年の秋、おいしいと評判のソバを栽培している畑のいくつかを巡るという至福の小旅行を経験できたのだったが、それらの山上のソバ畑を見学して共通して驚いたことがあった。
それは、どの畑もソバの足元に他の雑草ではなく「スギナ」がびっしりと群生していることだった。
「スギナ」は土壌のPH(土壌酸性度)の指標になる植物であって、スギナが生えている畑は普通の野菜はすくすく生長しない。
酸性だとうまくチッソやカリなどの陽イオンの成分が吸収出来ないし、火山灰土壌が特徴の日本の酸性土壌に多いアルミナ(アルミニウムの酸化物)がマイナスイオンの燐酸分を固定して作物が吸収出来なくしてしまう。。ところがどっこい、ソバはアルミナや他の陽イオンに固定されてしまって吸収できないはずの燐酸を、根から分泌する有機酸で溶かして吸収するし、人間でいえば炭水化物に相当するチッソ肥料もそんなにたくさん必要としない。
そういう栄養が多いと、ソバは茎や葉を伸ばすという栄養生長に専念するばかりで、花を咲かせ、受粉して実をつけるという生殖生長をしなくなる。
人間も植物も、栄養十分な形で生物学的に満たされていると、どうも子孫を残すという意味での生殖生長がおろそかになってしまうようだ。
ソバはことにそうであるらしくて、実は私が昨年、自家用野菜を作るために石灰を撒いて土壌酸度を中性に近づけ、なおかつチッソ・燐酸・カリを含む肥料を十分に散布した菜園のばれいしょを栽培した後地に「対馬ソバ」を播いたところ、いつまでもいつまでも茎や葉が成長しつづけ、ついにはその高さ2mにもなって倒伏し、収量が幾らも無かった。しかも製粉してみたらおいしいはずの「対馬ソバ」が鼻につくような悪臭がし、しかもたまらなく不味かった。
これは「対馬ソバ」のせいではなくて、私の肥培管理の拙さが原因であるとしか考えられない。

そうか、ソバはそもそも痩せ地で短期間に栽培出来る「救荒作物」であった。

ソバは栄養十分な畑ではなく、荒地で育ってこそ充実した種実を残すのだった。
「ソバの赤すね」という。秋になるとソバの茎はアントシアニンを生成して赤くなる。その原因を「ストレス」という言葉で説明する人がいた。
人間の病気も「ストレス」原因といわれることがある。
でもちょっと、待って下さい。
具体的にどういうストレスが生じ、それがどのような作用をして病気、あるいは「ソバの赤すね」という症状を引きおこすのでしょうか。
「ソバの赤すね」は、おそらくソバが栄養生長から生殖生長に転換しようとしている証明なのではないでしょうか。
一種の栄養飢餓状態に陥ってこそ、ソバは充実した実(子孫)を残そうとするのだが、十分な栄養は望むべくもない。
そういう、飢餓寸前のぎりぎりの栄養状態のソバこそが、デンプンやタンパク質でパンパンに詰まった実を残すのかも知れない。

どちらかといえば酸性気味の土壌。
根が耐水性に欠けているので、水田はだめ。出来れば緩やかに傾斜した畑。
石灰や肥料分はできるだけ少なめ。
気温は低め=標高が高い=あるいは低地であれば播種時期をぎりぎり遅くする。

今年は、このことを念頭から忘れないようにしてソバを栽培する場所を準備しよう。

さらに、刈り取りは黒化率70%を目標にし、乾燥している間は雨に遭わせない。
脱穀後の乾燥はほどほどにして、水分16%~15%にとどめ、決して過乾燥にしない。
などなど、結構ソバ栽培のハードルは高い。

2012年1月23日月曜日

枯れ木は枯れ木

カメラを持たずに行ったので写真は撮れませんでしたが、白く雪が積もった菜園の赤茎系のルバーブの株の中心に、まだ凍み枯れることなく生きている小さな茎がありました。緑茎系の株はもうすべての茎が枯れてしまっているのですが、この赤茎系は寒さに特に強いんですね。

そういえば、蕎麦Web博覧会は1月15日で閉幕なのでした。枯れ木も山の賑わいと思って当ブログも参加しましたが、枯れ木は枯れ木ですね。
ふたつのブログはタイヘンなのでまた元に戻ろうかなと考えています。

2012年1月21日土曜日

今夜も拡大鏡でソバの実を

昨年栽培してみたものの、あまりに栄養成長が長く続いて徒長し、倒伏し、実の付きが悪かったためか、あまりおいしく感じられなかったので今年は栽培しないつもりのT在来だが、それでも少しは種を残しておこうと今夜も拡大鏡でソバの実をのぞきこんでいて、あれ? っと思った。


昨年、種を入手した時には、種の形はみな左のような三角の稜がはっきりしたものばかりだったが、見れば右側のような丸みを帯びた米そばのようなグループが出現している。近くにソバを栽培している畑はないので交配したとは考えにくい。
また、昨年末に信濃1号を磨きをかけてから、ホームセンターでたまたま目について購入した目合3,6mmの金網で篩ったところ、やはり丸みを帯びた小粒な米そばというべき粒が結構篩い下に出現した。多分、同じ種を作り返しているとこういう風に一種の退化として小粒が現れてくるのかもしれない。
あるいはこういう形の変化はどの種類にもありうることなのかもしれない。であるから、こういう形の小粒な種だけを選抜しながら、他のソバと交配しないような畑で3年も栽培を繰り返してゆけば、別のソバになってしまうのではないか。そういう選別をせずに十年、数十年、作り返してゆくソバとでは別のソバになってゆく。
選別といえば、もうすでに昨年からN在来でそれを始めてしまっているし、昨年5gから1800g収穫できたK在来を、今年はもう少し増産し、その風味を確認することに集中する予定なので、これ以上余計なことは出来ないだろう。

しかし、粒の揃った信濃1号を作っていると10aで百数十kgも収穫できるのに、小粒種だと70kgくらいしか収穫できないのが切ない。

2012年1月8日日曜日

どこか似ている

ようやく、何とか、今年のソバの播種計画が決まった。
写真左上が食用として花園1号、2号、3号地に播くN在来。右が試食用として菜園の空いている場所30坪ほどに播くK在来。これは189粒しかなかったものを1800gまで増やしたので、更に10kgくらいの収穫をめざす。写真左下はN在来の中から小粒で稜が消えかかって丸くなっているものだけを選抜し、昨年K在来を種子生産用に播いた場所に隔離して播いてみようと考えている。結局、今年も三ヶ所に三種類。ただし昨年信濃1号を播いたN原の畑は耕作しないことにしたので、昨年に比べれば楽であり、その分、集中できる。
写真右下は比較のための「常陸秋そば」。とても大きく見える。


それにしても、これだけ小粒種が多くなると、「たねまきごんべえ」のソバの播種用エンドレス・ベルトの穴を拡張したのがかえってあだになり、播種量が多くなりすぎてしまう。信濃1号ではちょうど良かったのだが。播種時期までにもう一度エンドレス・ベルトを買い換えなければ。

そういえば、「常陸秋そば」について書かれた本を再読していたら、「米そば」といって茨城県でも福島県境に近い大子町周辺で栽培されていた小粒のソバが、普通のソバは20%くらいの結実率であるのに、その「米そば」は結実率が40%くらいで面白かったと書かれていた。
まだその「米そば」は栽培されているのだろうかと思い、ネットで検索してみたがヒットしなかった。やはり「常陸秋そば」に席巻されてしまい、茨城県では在来種は金砂郷在来のほかは全滅してしまったのだろうか。ジーン・バンクにも「米そば」や「大子町在来」というものは見あたらない。
信濃1号に席巻されて、数多くの在来種が消滅した戦後の日本にどこか似ている。

2012年1月3日火曜日

新年早々何とも辛気臭い

あまり体を動かさずに飲み食いばかりしているとかえって調子が悪くなりそうなので、今年播種するN在来の種の選別を開始しました。
大きめの拡大鏡を使っての作業です。
できるだけふっくらしているものを選び出してみました。
ただし食用の種を用意するとなると数kgも選別しなければならないので、食用は昨年収穫したものから明らかに交配していると思えるものだけを排除してそれを播くことにし、ふっくらしたものは20g~30gをきっちり種子用として厳選し、それを食用のソバ畑とは別の離れた場所で採種用に播こうと考えています。

ただし昨年採種用に播種したT在来とK在来をどうするか、まだ捨てる決心がつかないのでもう一度蕎麦にして食味を試してみなければなりません。
先の試食ではT在来は×でしたが、K在来は結構風味がしっかりしていたので迷います。あまりに小粒で収量を考えると気が進みませんが、5gから1800g収穫できたのですから捨てるのも惜しいのです。

それにしても拡大鏡を通して覗きこみながらのそばの種の選別って、何とも辛気臭い作業ではあります。なぜなら、食べられるのは再来年になってしまうのですから。
しかし、これらのなかから何とかMysobaを育てたいものですから、何とかがんばりましょう。

左・K在来   右・N在来

あれ? K在来も選別した方がよさそうな……。


2011年12月31日土曜日

今年の年越し蕎麦

先ほど、年越し蕎麦を食べました。


今年は2種盛りで、右がN在来、左が信濃1号。
ちょっと盛りが多すぎて品がありませんでした。
どちらも50メッシュ以上の粉で二八なので、打ち易く喉越しも良かったですが、最近試みている粗碾きに比べると優等生な食感でした。
ただし、蕎麦を噛みしめるとN在来の方がこれぞ蕎麦という風味を感じさせました。
今日まで迷っていましたが、これで来年度も在来種を栽培することに決めました。

それにしても、50メッシュ以上の微粉だけだと物足りないですね。
粒度分布のバランスがよければ、30メッシュくらいがいいのかもしれません。無篩いというのをされている方も居られるようですが、私の場合は「十年早い」でしょう。

皆様、良いお年を。

2011年12月21日水曜日

2011年、極めて私的な回顧と反省

今年は私のソバ栽培歴でも記念すべき年だった。
昨年まではソバといえば当県農試が世に送った「信濃1号」を播種するのが当然だったが、今年は「信濃1号」の他に何と在来種を3種、計4種類のソバを4ヶ所に播種栽培した。
それはもうほとんど狂気の沙汰。
そしてようやく3種類の在来種を自分で石臼で碾いて、自分で打って、自分で茹でて、食べてみた。
その結果、どれもおいしいし、どれも微粉にすればつながりやすいが風味は弱くなり、粗碾きにすればつながりにくいが風味は強くなることが、うすうす判って来た。
となると、蕎麦の味の差が品種の差なのか、刈り取り時期や脱穀・乾燥・製粉の仕方の相違なのかが判別出来なくなって来てしまう。
それから、小粒であるがゆえにデンプン:タンパク比がタンパク寄りゆえに風味が強い在来種と、たとえばそれに対立する悪役としての改良種、その代表である「信濃1号」との風味の比較であるが、むしろ「信濃1号」には在来種の蕎麦を食べた時に感じる泥臭さは感じられず、むしろ洗練されてピュアな蕎麦の風味といったものを感じないでもない。ソバの風味ほどその感受が難しいものはない。
それにつけても思い出されるのは、旱魃でソバが大不作だった一昨年の「信濃1号」が、水回しの際に立ち上がる香りといい、茹で上げてざるの上から箸で手繰り上げた蕎麦から漂って来た「蕎麦の匂い」です。
蕎麦会の席で思わず蕎麦を摘んだ箸を持ったまま椅子から立ち上がり、「蕎麦の香りがする!」と叫んだ同級生M君。
そうそう、一昨年の蕎麦はほんとうに風味満点でした。と思えば「信濃1号」もまんざら捨てたものでもないような気がしてきます。
どうも蕎麦は品種だけではなく、その年の気候にも左右され、栽培の仕方、刈り取り時期、乾燥の仕方、製粉の仕方、蕎麦の打ち方などにも左右されるのですね。
ふう~、来年もがんばろうと思うのですが、来年はどのソバを播いたらいいんでしょう??

2011年12月18日日曜日

来年度どのソバを播くか

今年栽培したN在来を一度碾き割って、ソバ殻を篩って風で飛ばして98%くらい除去して、残った大割れ、小割れなどを手製の電動石臼で一回碾きをし、それを30目(約25メッシュ)の篩にかけたそば粉で、十割、水のみの加水で打ってみました。

写真が下手なせいか、こうして見るとあまりおいしそうに見えませんが、噛むと紛々と味、香り、甘みが広がって来て、小学生の頃に父の生家に行ってはご馳走になった蕎麦の味を思い出しました。
粗碾きはすすっても噛んでもおいしい蕎麦ですが、もう少し細くきれいに切れたら、すすっただけでも蕎麦の風味が口の中駆けめぐることでしょう。
夏から秋の間、汗と埃にまみれて傍目にはバカかと思えるような苦労をしましたが、いやいや、今夜はしあわせです。


あ、接写してみたら、結構白い粒々が見えますね。なるほど、この粒々な感じが30目(24メッシュ)以内。よく目に焼きつけておきます。

蕎麦打ちは下手なので、先ずはこれくらいの粗碾きで練習を続けてみます。
ちなみに、この粉1kgを60目の篩にかけてみたら、60目より粗い粒は180g残りました。つまり60目から30目までの間の粒子が全体の18%ということですが、これが、多いのか、まだ少ないのかは粗碾き蕎麦初心者なので判りません。
やはり、粗碾きが混じると加水量が多くなり、どうしても固めになってしまい、苦戦しました。もうちょっと薄く、細く切りたかったのですが、固くて薄く伸せませんでした。そのためか、蕎麦自体もやや固めでした。もう少し柔らかく、それでいてコシがあるように打たなくてはいけません。加水収量の時点では適正な吸水だと判断しても、少しこねている間、それからまとめあがった時点で意外と固くなってしまいました。喩えはよくありませんが、急に態度が冷たくなった女性みたいな感じ? ^_^; 次回はもう少し柔らかめにしてみよう。
あるいは、ズル玉気味に加水して、ひとつにまとまったらビニール袋に入れて数分くらいおいて粗い粒への水の浸透を待ち、それから練りに入った方がいいかもしれません。十割は捏ねないといいますが、ほんとうに捏ねるというより練るという感じでよさそうです。力を入れて捏ねなくてもまとまって来て艶も出てきます。

とにかく、この冬の間に回数を打って粗碾き蕎麦のこつを身につけなければ。
粉は十分すぎるほどあります。

道具を出したついでに、これからT在来とK在来も300gずつ、打ってみます。こちらは60目で篩ってしまったので、もう少し楽に打てると思います。
自分で茹でて自分で食べるというのは、じっくり食べ比べすることができずタイヘンです。
いずれにしても、打ち比べして、食べ比べして、それで来年度どのソバを播くか決まりますので緊張します。





引き続いて、T在来・碾き割後電動石臼にて2回碾き・60目で篩ったそば粉を300g。加水率50%でかなりのズル玉になったが、伸しやすい。
やはり、微粉に近いほど加水は少なくなり、粗いほど多くなるんですね。

さらに、K在来・少量なのでいきなり玄ソバのまま電動石臼(1分間15回転)で2回碾き、40目で篩ったそば粉を300g。加水率56,66%でも延しに入ったら固くて慎重に延すが、あまり薄くはならず。

左・T在来60目(48メッシュ)   右・K在来玄碾き40目(32メッシュ)

T在来60目

K在来、玄碾き40目

食べた感想は、T在来は苦味・えぐみが強いというデータを見て期待していたのだが、その割りに平凡というか、決して不味い訳ではないがおとなしい。これは多分、60目で篩ったのとひき割りも含めると3回製粉機と石臼を通っているため風味が落ちたのかもしれない。
K在来は玄碾きのせいでそば殻が目立つが、在来種のソバの花の蜜の匂いを思い起こさせるような独特の臭みを一瞬だけ感じた(幻想というか幻臭?)。噛むと味と香りは結構ある。
結局、本日強行して3種も打ったなかで、最初の碾き割り後1回石臼を通して30目で篩ったN在来がいちばんうまかった。
と考えていて、うまかった順番は30目、40目、60目と粗い方がおいしいという結果になってしまっているのに気がつきました。
粗碾きで、しかも出来るだけ石臼を碾き割後1回通すだけの方がおいしい、という感想。

2011年12月13日火曜日

大いに迷う

晴れていたので、来年度の種を選別するためにN在来を塩水選してみた。
それでもルーペで観察するとその形状も均一ではなく、大きいの小さいの、尖ったの丸みを帯びているもの、こんなに変化に富んでいるものかと驚いてしまう。これではまた手で選別しなければダメじゃないかと思える。
それから、手早くと思ったが結構吸水してしまうもので、だいぶ膨らんでしまったように見える。また何日か天日乾燥しなければならない。

しかし、こんな雑な選別方法ではダメかもしれない。むしろ、50粒とか100粒くらい、形質の似た種を拾い出し、それを食用とは別の場所に隔離して栽培する方法の方が良いのかもしれない。
と同時に、そういう作為無しで雑多な形質のまま作り続けてゆくのもひとつの考えだし、と大いに迷う。
第一、まだT在来とK在来を蕎麦にして食べてみてないのだから、ほんとうは来年度の主力がどれなのかさえ決まっていない。

2011年12月12日月曜日

もっと粗めに碾いてもつながる?

どうやら凍っていた土が融けたらしいので、午後、Tさんのトラクターを借り出して、N在来を栽培した花園1,2,3号地をもう一度耕した。11月下旬に一度耕したが、毎週末に雨が降るような秋だったので土の水分が十分すぎて雑草が枯れなくて青々と復活再生していた。このままにしておくと春の早い段階から雑草が勢い良くなりそうなので、もう一度耕して越年しそうな雑草を根絶しておくのが目的。
これで来年春までトラクターを借りることはないので、Tさんにお礼をしなければ。

それから来年度のために数箇所、蕎麦栽培の適地を探したが、標高の高い高冷地はレタス、キャベツなどの結球野菜の栽培が盛んで残留チッソが多く、ソバが徒長、倒伏しそうでOUT、また山奥の耕作放棄地はソバ栽培地としてのロケーションはいいのだが、鹿とイノシシが多くてOUT。イノシシはともかく、鹿は収穫間際に集団でやって来て、ソバの実をバリバリ食べてしまうので、落ち着いてソバを栽培できない。結局、案外、市街地に近い耕作放棄地が候補地に上がってくることになるが、ソバ畑として周囲のロケーションは悪くなる。ロケーションでソバを栽培するのではないから、ある程度は仕方ないか。

蕎麦を知人宅に届けるために一週間の間に2回ほど続けてN在来で蕎麦を打ったが、やはりこれまでの信濃1号よりずっと強い粘りを感じる。
ということは、自分用のそば粉は「もっと粗めに碾いてもつながる」ということではないか。
この冬は、粗碾きの粉を碾いて打つ研究をしてみよう。

2011年11月29日火曜日

種フェチ


変な趣味だがルーペでソバの実を見ていると楽しい。
コンパクトデジカメでは、ソバの実を上手に接写できない。これくらいが限界。
磨きをしてない玄だったので、萼やら何やらも写っている。

2011年11月28日月曜日

今年度ソバ栽培総括・冷静編



今年栽培した4種類。個人が4種類もなんて馬鹿げているが、曲がりなりにも交配を避けて4ヶ所に分散して播いた。
しろうとのデジカメではこれが限度。
それにしても右から二番目、小さいなあ。ちなみにいちばん左側が「信濃1号」。
来年は2種類にしぼりたいが、試食が遅々として進まず。
粒の大きさは結局はタンパク質とデンプン質の比率の問題に過ぎないのかもしれなくて、だとすれば、碾き方と篩い分けあるいは一番粉、二番粉、三番粉といった粉の混合比によって風味をコントロール出来るのではないか。
と考えれば、品種にこだわるよりも、むしろ、刈り取りと乾燥の仕方、あるいは製粉の仕方を研究する方がいいのかもしれない。
信濃1号とN在来はもう5回くらい蕎麦にして食べてみているが、実は今年の蕎麦、不満である。甘皮の緑が薄い。それとパラレルに風味も薄いのだ。
来年度は本気で、刈り取りのタイミングと乾燥の仕方について、いろいろ試してみよう。

(昨夜検索してみたある県のソバの乾燥に関する文書に、常温よりも30℃の通風乾燥の方が風味と甘皮の緑色が良いと書かれていたが、本当か。青味を残すなら、薬草の乾燥のような陰干しがいいのではないかと思うのだが、今年、試してみるのを忘れてしまった)

2011年11月26日土曜日

今年度ソバ栽培総括・憤怒悲嘆篇



午前中、Tさんからトラクターを借りてN原のソバ畑を耕してきれいにして来た。
枯れたソバの茎がバリバリと音を立てて土の中に鋤き込まれ、姿を消してゆく。
これで、今年の狂乱怒涛のソバ栽培は終了である。

この畑で、Tさんといっしょに四回ソバを栽培してきたが、来年はもうここでは栽培しないことに決めた。
ソバ栽培の技術のほとんどをこの畑でTさんに教わり、また自分で考えながら身に着けて来たので、もうここでソバを作らないとなると感傷的にならざるを得ない。初めの二年は、アルツハイマー病で今は特別擁護老人ホームに入所しているTさんの奥さんの姿も畑にあった。どこかに行ってしまわないように、Tさんはトラックの助手席に奥さんを乗せたまま、ロープで車のドアを縛って播種作業をしたのだった。
「Kさんは何の歌が好き?」
Tさんの奥さんは数分置きに同じ言葉を繰り返した。
私は問われる度に「石原裕次郎の赤いハンカチ」と答えた。
あまりに同じ質問をされたので、その度に異なる答えをするのが面倒で横着をしたのだったが、たまに気紛れで別の歌手の別の歌を口にすることもあった。するとTさんの奥さんは暗い顔をして沈黙してしまうので、私はちょっとだけ自分を悪い人間だなと思うのだった。

このN原でのソバ栽培はTさんとの共同栽培であり、余剰の分はふたりとも製粉会社に売って、私はといえば電動石臼などのモーター購入資金など、製粉にかかわる機材の整備に充てて来たのだった。

しかし、今年度より始まった農水省のソバなど畑作物への戸別補償制度によって、昨年まではkgあたり350~380円だった買入価格が、製粉会社は、戸別補償で市町村から出るであろう金額の概算金であるkg当たり200円を差し引いて、kg200円という不条理な買取価格を提示したのだった。
そのことに憤慨し、私は来年度からは自分の分以外は栽培しないことに決めた。

戸別補償を申請してソバを栽培したひとは、それでは何円になったのだろう?

戸別補償を申請しなかった、われわれのような趣味的栽培者や、自家用に栽培して余った分だけを売りに行く高齢者などは、1kgたった200円で売り渡さざるを得ない。
そうやって安く玄ソバを買い取ったからといって、その製粉会社のそば粉は相変わらず1kg袋を昨年と変わらず1500円、1600円で販売しているのである。
何だ、ソバの戸別補償とはソバの自給率を上げるため、農家のソバ栽培意欲を増すために出されるのではなくて、製粉会社を儲けさせるために創設されたのでしたか。
何だかこの製粉会社が、悪代官と結託して暴利をむさぼる時代劇「水戸黄門」に登場する悪徳ソバ粉問屋みたいな気がしてなりません。
手刈りして人力で脱穀してって、江戸時代と変わらない非効率な栽培をしているんですから、仕方ありませんか。
でも、素朴に採算が合わないソバを作り続ける零細ソバ栽培農家と、素朴に蕎麦が好きで蕎麦を食べられるひとの間に、こんな業者が存在してひとり肥えていることに抗議して、私は来年度から自分が食べる以外のソバは作らないことにします。
でもそれだと残間里江子さんに揶揄された「蕎麦打ち男」に成り下がるっていうことなのかもしれなくて……それも嫌だなあ……とほほ……ウァーン・゚・(ノД`)ヽ(゚Д゚ )ナクナョ~てば。

2011年11月25日金曜日

ソバの種選別開始

そろそろ、花園1,2,3号地で栽培したN在来から来年度用の種を選別しなければならない。3号地の4通りに小粒なものばかり選別したものを播き、別に刈り取って脱穀し、別の紙袋に入れて置いた玄ソバがあるので、そこから選別する予定だが、収穫したままでは萼などが付いていて選別がしにくいので軽く磨きをかけた。
これを冬の間、夕食後にでも少しずつ選別する。裸眼では判別が難しい年齢なので大きめの拡大鏡を使っての作業。ただし、今年は10月2日だか3日に霜害というより凍害に遭って葉が枯れたことがあり、そのために刈り取りを予定より1週間も早くしたので、黒化しない実や、充実していない実が多い。だから余計に選別が必要ということになる。
訳あって、来年度からは自分が食べるだけのソバしか栽培しないことになったので、多分、自分用にはこのN在来か、T在来、K在来のどれかを栽培してゆくことになるだろう。そういえば、まだT在来とK在来は試食してないのだった。Tはすでに1kgほど粉にしてあるが、Kはまだ粉にもしてない。何といっても収量が1,8kgしかないのだから、多分、複数回試食するわけにはいかず、一回で判断しなければならない。先ずは明後日にでもT在来の方を300g打って試食してみたい。

そういえば、Tさんに種を上げた「ねずみ大根」があまり辛くないという。昨年私が栽培したものを上げた、あれに比べて辛くないのだと。
そうそう、うっかりしていました。「ねずみ大根」だけでなく、辛味大根はあまり肥えた土壌には向いていないし、普通の大根を栽培する感覚で肥料を撒いてはいけないのでした。そうすると大根は大きくなるのですが、辛味は薄くなります。
そういう私も実は自家菜園の総太り大根の隣に播いてしまったので、多分今年は辛味が薄いのかもしれません。むしろ、花園1号地の南の端の砂や小石混じりの場所に無肥料で播くべきでした。