しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2012年2月7日火曜日

何とも臭くて不味い蕎麦に関する非科学的類推

うまいはずのソバがこれほど段違いに不味いのは初めてだった。
昨年、栽培したソバのうちのT在来がそうだった。
春に栽培した馬鈴薯を収穫した後地に播種したせいか、播種時期が早すぎたせいか、とにかく草丈2mまで伸びてついにはそれぞれが隣の畝のソバに寄りかかり、倒伏してしまった。
その上、いつまでも花が咲くばかりで実がつかない。

● その原因
1 チッソ分が多すぎた。
2 西日本の品種であるから播種時期を一週間か十日遅らせるべきであった。

それでも霜が降りるまで刈り取りを遅らせたら、21坪で8kgの収穫があった。
その県の農業技術センターのT在来に関する色調、食味などの検査結果では、他の比較品種に比べれば味覚センサーによる苦味、苦味コク、旨味、旨味コク、渋み、渋み刺激などの数値が抜群に良い。ことに苦味と苦味コクが強い。これが粉になると甘皮のあたりの強いナッツのような風味になるのだと期待していた。

ほどほどに乾燥してきたので1kgほどを製粉し、早速蕎麦にして食べてみた。
しかし、最後まで食べられなかった。
風味を感じるとか、味わうとかいう蕎麦ではなかった。
何か、もやもやと臭いのである。こんなに臭くて不味い蕎麦は生まれて初めてである。
その悪臭はすぐに9月の花盛りの在来種のソバの花から放たれる蜜の匂いを思い出させた。
一昨年まで信濃1号しか栽培しなかったので知らなかったが、在来種のソバの花の蜜の匂いは繊維だけでなくタンパク質を含んでいるような、堆肥臭いような、うんこ臭いような匂いがもやもや発散されることを、9月になって気づいたのだったが、あのソバの蜜の匂いに近いものが、蕎麦を噛むたびに口の中でもや~と生じて鼻に抜けてゆくので、かなりの蕎麦好きなのに、ざるの上の蕎麦すべてを食べられなかった。

その原因をずっと考えていた。
1 花が咲いても実にならないのは、まだ日照時間が長いことや高温が続いていることが原因で、それを避けるためにはもっと標高の高い場所で栽培するか、播種時期を1週間~10日くらい遅くする。
1 チッソが過剰のため、ソバの植物体に吸収され、本来はアミノ酸やタンパク質に変わる硝酸、亜硝酸、アンモニアなどのチッソ分の同化作用が間に合わず、硝酸や亜硝酸などの未消化チッソのまま残存していて、それらが悪臭のもととなっている。(ただのしろうとの類推です)

ということで、ことに西南暖地のソバを播く場合は、播種時期を遅らせること。
そしてどのソバにも共通することだが、実がつきはじめる頃には茎が栄養が切れて「赤すね」になる程度の軽い飢餓状態にしておいた方が、チッソの同化作用がきちんと行われて内にデンプン、外にタンパク質がぎっしりつまったソバの実となる。
気温が暖かかったり、水分が多かったり、もともとチッソ分が多かったりすると、茎や葉は霜に遭うころまで営々と葉緑素いっぱいの緑色で栄養生長を主体にしていて、実をつける生殖生長に切り替わらない。
甘いトマトを栽培するのに水と肥料をぎりぎりまで制限する。ソバも同じことで、栄養をぎりぎり制限されたり、気温が低かったり標高が高かったり、旱魃で栄養が吸収できないとせっせと少ない栄養を同化してデンプンやタンパク質に変えてゆく。
そういえば、旱魃でソバが不作になり大騒ぎになった三、四年前のソバは、香りも味も純で明瞭で実に蕎麦がうまかった。
蕎麦会でM君がひとくち蕎麦をすすり上げて、いきなり椅子から立ち上がり、「蕎麦の香りがする!」と叫んだ、あの年だ。
不作の年の蕎麦の方がおいしいのかも。

早播きとチッソ過多の蕎麦は、栄養生長が盛んになりすぎ、すんなり生殖生長に移行できないので実のつきも悪いし、風味も悪い。
山の天辺の、赤土でスギナが群生するような痩せ地の蕎麦は早くに生殖生長を始めるので実にデンプン、タンパクがぎっしり詰まり、旨い。
今年のソバ栽培では、風味がすっきり際立つ蕎麦をめざして、これらのことに留意しよう。

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