しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2008年7月24日木曜日

オヤマボクチの精製歩留まりについて

6月19日の山採りの葉、採取し乾燥した876枚で精製された茸毛が120g。
7月6日採取、T屋さんの畑に昨年植え付けられた二年生のオヤマボクチの葉、344枚で精製された茸毛が105g。 
山採りでは1gの茸毛を得るのに7,3枚の葉を要した。
畑で栽培されたものは1gの茸毛を得るのに3,27枚を要した。
 早い話が茸毛100gを得るのに山採りでは730枚、栽培物では327枚で済むという、驚くべきデータ。ちなみに葉の大きさは栽培物が特に大きい訳ではなく、どちらも大きい葉、小さい葉が混在しており、データに出る差はわずかと思われる。
 手にした段階で明らかに葉の厚みの差異を感じたので、比較するためのデータを記録しておいたのだったが、これほど違うとは予測しなかった。 
 理由として考えられるのは、畑で栽培されたものは光線、風を遮るものがないので葉が厚くなり、裏の茸毛も厚みがある。それに比べ、山で自生するものは、5月はじめはともかく採取時期の6月後半から7月になると、周囲に存在する樹木の葉が若干でも展開して日光を遮り、また風通しも悪くなるので葉が薄くなる。
 いずれにしても、栽培された葉の方が精製の歩留まりが2倍以上というのは、予想を超えた数字であったので、ここに記録しておく。

2008年7月21日月曜日

酸素欠乏と高温

 この春に専用に借りた畑のオヤマボクチが梅雨時からつぎつぎに株が消えてゆき、梅雨が明けたから安堵していたら、枯れてゆく株があるのでいささか気が滅入っている。
 梅雨時に酸素欠乏で根腐れになるのは解るが、梅雨が明けてなお枯れてゆくのはなぜ? と思って、今日、試みに黒いマルチフィルムを破って、中の土に手を入れてみた。熱い。地温が高すぎる。標高1000m前後の日当たり良く水捌けの良い斜面に自生するオヤマボクチの根が、こんなに地温が高くていいはずがない。明日の朝、黒いマルチフィルムすべてを剥がしてしまおう。
(ちなみに、昨秋に山から採取して来てマルチフィルムを張らずに菜園の東端に植えておいたoyamabokuchiは、一本も枯れることなく芽を出し、茎や葉を伸ばし、蕾さえ付けている。やはりマルチフィルムなど張らずに植えた方がいいのかもしれない。さる農業試験場のデータでは黒いマルチフィルムを張ると葉の収量が2倍と書かれていたが、それも状況に応じたものであろう。むしろ、山に自生しているオヤマボクチの生育環境をイメージして、それに沿った方がよさそうだ)

2008年7月8日火曜日

梅雨が明けないうちに


 昨年秋に植えたオヤマボクチに薹が立って、ついに蕾が出現。八月にはアザミの親分みたいな花が咲くだろう。
 今年専用の畑を借りて植えたオヤマボクチは、水捌けが悪いのを危惧していた通り、150株植えたうち30株が酸素欠乏による根腐れで枯れ、消滅。オヤマボクチのためには、早く梅雨明けして欲しい。

2008年7月4日金曜日

流体選別法

 いよいよ、オヤマボクチ精製の本番でありますが、どうもタイヘンな根気仕事で、精製本番も大鍋でひたすら煮て、洗い流しながら不純物を除くという、とにかく必要なのは最初から最後まで根気だけという単純作業でいやになります。
 ソバ栽培の刈り取り以降の脱穀選別作業同様、根気だけで成立するような、原始時代や縄文時代と一向に変わらない手作業なのです。
 何とか、もう少し楽に早くきれいに精製できないものか、ずっと考え続けて、今日、仕事で車を運転中に一瞬の閃光。電柱にぶつかりそうになりました。
 夕食を終え、キッチンが片付いて誰も居なくなったのをこれ幸い、さっそく大鍋を出して試行開始。真夏並みに暑いので上半身裸のオジサンが大鍋の中をのぞいている様は物狂いしてるとしか言いようがありません(ーー;)です。
 先ずは炭酸水素ナトリウム(ただの重曹)を適当に投入して煮込み、アクが出て真っ黒な色になるので、一度水を換え、さらに煮続けること二時間。
 これまでいろいろ調べ、、昨年秋に初めて精製した際には、この後、ひたすらキッチン用のステンレス製の網のザルを使ってゴミ(茎や葉のかけら)を除去したものだが、それでもゴミが残った。あれではどうもすっきりしない。
 なんとか、もっときれいに精製する方法はないか? 
 ごく普通に家庭にある機器を用いてある処理をします。その後で、ステンレス製の網のザルを用いて水で洗い流すのは同じです。蛇口の水をシャワーにして強く流すと、見る見る不純物が洗い流されて、オヤマボクチの茸毛だけになってゆくのは感動的でさえあります。
 いわば「流体選別法」とでも名づけられるべき方法でありますが、ここに詳細は書けません。特許申請できるかもしれません(笑&冗談)。
 ですが、私にとって天才的、画期的方法なのです。この方法が一般的に行なわれているか、いないか、調べてみる必要があります。
 とにかく、99%以上不純物を除くことができて、きれいな精製オヤマボクチが出来ました。乾燥したら画像をアップすることにします。

2008年7月1日火曜日

オヤマボクチ精製・前処理メモ

乾燥したオヤマボクチの葉の茎に繋がっている太い葉脈を取り除き、それからある機械にかけて5分間回転させる。
すると、葉の表面の葉緑素の多い部分が粉茶のように粉砕され、葉裏の白い毛(茸毛)と分離されるので、それを篩(ふるい)にかける。



(篩はホームセンターで売っている園芸用ふるいの3枚付属する網のうちのいちばん細かい網目3mmを使用。中くらいの網で試したが茸毛まで落ちてしまい、いちばん細かい3mm目が最適と判明)



篩った茸毛(じょうもう)をマクロ撮影したもの。


まだ白い毛のなかに緑の葉の破片や茎の筋が残っている。これをさらに乾燥させ、ある家庭用調理機器にかけてから篩にかけるという作業を数回繰り返すと、不純物が徐々に少なくなり、精製の前処理はこれで終了となる。この綿のような状態のものを作り溜めておき、最後に、昨年秋に試みたように、鍋で重曹を入れて煮てアク抜きをし、さらに水を替え、数時間ひたすら煮てから水にさらし、不純物を洗い流す。不純物が減ってほぼ白い茸毛だけになったら、脱水、乾燥して作業終了。



そういえば、仕事で近くまで行ったので、昨年、ソバを栽培した畑を久々に訪問。雑草が心配だったが、貸主が一度トラクターで耕運しておいてくれたので、昨年こぼれたソバの実が発芽、成長して花が咲いてはいたものの、雑草はまだ小さかった。近いうちに一度、トラクターを借りて耕しておかなければならない。8月10日ごろの播種までに2回。

2008年6月23日月曜日

わさびとオヤマボクチ


こちらは畑の隅に植えたワサビ。もともと大きかった株は生育旺盛ですが、分けつしたばかりの小さな株はまだ大きくなりません。でも枯れずに生きています。来年の春が楽しみです。



これは昨年の秋の終わり頃に畑に植えたオヤマボクチ。薹が立ってきたので蕾が出来て花が咲くかもしれませんが、移植後一年でどれだけ大きな蕾になるか。

2008年6月19日木曜日

山狂い

 午後、仕事で出かけた先から、山道をあるルートをたどって車を走らせて見た。完全に山狂いである。舗装は走り初めのわずかな距離で、それから先は未舗装で狭い林業用道路となる。昨年秋の台風で沢がえぐれ、土砂が大量に押し出された痕跡もあり、緊張しながらの運転で、しかも常に道路両サイドの斜面に目をやりながらである。
 あった。無いところにはちっとも無いが、種子がこぼれるせいか、あるところにはあるものだ。北から南へ向かっていた道路が東から西に向かってうねるように曲がっていて、しかも切り通しになっている北側の斜面にオヤマボクチが群生していた。ただし、斜面の傾斜が45度よりもっとある。崖ではないが50度から55度くらい傾斜している。何度も滑り落ちながら採取。
 それからさらに、あちらこちらの道路沿いの斜面に生えているオヤマボクチを採りながら山奥へ進むと、いよいよ深山幽谷の気配。車一台、誰ひとりにも会うことなくさらに前進。岩に無数のひびが入っていて落石がごろごろしている個所に差しかかって、戻ろうかと考えたが前進、ようやくとある別荘地へ出た。このルート完全走破したのは始めて。林業関係者以外は入らない道路だ。秋の紅葉の時期もいいかもしれない。
 帰宅後、輪ゴムで6枚ずつ束ねたものを3本ずつに振り分け、陰干しにするために倉庫軒下に物干しロープを張ってぶら下げていったら、5mの物干しロープが3本必要だった。6本ずつ束にしたものが146あったので、合計876枚(備忘)。大収穫であります。
(ただし、乾燥の後の精製作業を経て葉裏の白い茸毛《じょうもう》だけになった時には、泣けるほど量が減ってしまうのです。ソバ粉1kgに5gですから、使用量も微々たるものですが)

2008年6月17日火曜日

第2回姨捨会山菜採りツアー

 今朝になって突然、6月4日に山へ山蕗を採りに連れて行った母親の茶飲み友だち(他称通称おばすて会)の同じメンバーを、今日、また同じ場所へ連れて行ってくれ、と。え?! 私の仕事の都合も訊かず......(ーー;)  。前回取り残した山蕗が目の奥でちらちらして夜も眠れないのだと(嘘つけ、毎晩グースカ眠っているくせに)。
 で、結局、8:45には出発。
 欲深ばあさんたち、すごいですね。それから昼まで山蕗を採り続け、帰ろうと言わない。昼食後も帰ろうとせず、もう一ヶ所別の場所へ行ってみたいと。メンバーの中にこの山奥の突き当たりの村出身の方がいて、昔、自分の家で作っていた水田が耕作放棄して荒れているが、そこに山蕗が生えているかもしれないので行って確かめてみたいのだという。
 行った。少しあった。これでいいのかと思うと、隣の杉林のなかに山ミツバが生えていて、柔らかそうなので採るという。するとその杉林の中に青いネットを張りめぐらした不自然な場所があった。イノシシに荒らされてしまうような作物をこんな杉林のなかで栽培しているはずもなく、ネット越しに中を見ると、そこにも山蕗、山ミツバ......あれ?! wasabiがありますぞ。ネットは明らかにこれを採ってはいけないという意思表示なのでした。それにあまりたくさんは生えていないので、これじゃ採れません。
 ばあ様たちはまだ杉林の仲をうろついているので、車を方向転換させておこうと坂を少し上って、車の向きを変えて下り始めた時、左の土手に山蕗にしては短くカッコ悪い植物が目に入った。山蕗のようで山蕗でない。オヤマボクチか?急停車して採取開始。
 しかし、先に山採りしたものは丸みを帯びているが、今日のは葉の先が尖っている。しかも葉裏の白い毛が薄めである。この集落出身のおばさんいわく、「これがほんとうのヤマゴボウだ、あんたのうちの庭にあった苗の方が偽物だ」
 とはいえ、捨てずに帰宅。やはり2種類あるのだ。

2008年6月14日土曜日

今年度第一回オヤマボクチ精製


 今年度第1回オヤマボクチ精製終了。昨年秋に初めて精製したものよりずっと不純物が少なくなり、白っぽい仕上がりになり、ほぼ満足。精製の手順と、これは大事というキーポイントも把握出来た。これでまた葉の収集にいそしめます。

2008年6月13日金曜日

貧乏性

 今夜は今年度第1回めのオヤマボクチ精製作業。いよいよ大鍋を出してひたすら煮て、ひたすら不純物(葉の表の葉緑素がある部分と、葉脈)を洗い流すだけの根気作業。しかし、やはり、昨年秋より遥かに楽だ。茸毛以外はとにかく細かく粉砕しておけば家庭用ステンレス笊の網目からどんどん流れ出してゆく。表の葉緑素がある部分は抹茶のように細かくなっているのですべて洗い流されるが、葉脈が難敵だ。そういえば、隣県の試験場の研究結果に「乾燥した葉を圧延ロール(ロール径30㎝、間隙0.05㎜)に2回通し、葉脈を破壊する」とある。直径30cmの圧延ローラーなど家庭にあろう筈もないが、直径数センチだがイタリアの製麺機のローラーはある、あれで葉脈を粉砕するのを忘れた。七月に予定している2回目精製作業では忘れずに 間隙0.05㎜以下で葉脈を粉砕してみよう。
 少しだけ水分を絞ってみたら、昨年秋のものよりずっと白く、不純物が少なく、ほぼ満足できるものにはなった。
 それにしても、すべて自分でしてもみなければ気が済まないのは不幸のきわみであり貧乏性のきわみであもある。この性癖が邪魔をして、社長にも管理職にもなれなかった訳です。種まきからソバ打ちまでの工程のなかで製粉だけが他者の手に渡ってしまうことが納得できなくて、中古モーターを買い入れ、製粉機さえ設置しようとしている。
 稚拙な飛行装置で空を飛ぼうとした表具屋幸吉や、ネクタリオ、あるいは百科全書的にすべてを試行してみようとしたブヴールとペキュシエ、彼らには及ばないまでも、その末席を穢してはいるのかもしれない。
 ソバ、オヤマボクチ、ワサビ、ねずみ大根、刻み海苔。すべて揃って完璧なのだ。どれか一つ欠けても不都合。
 そういえば、ねずみ大根の採種は失敗らしい。二株だけのせいなのか、受精しないらしくて実が入らず不稔なので、とうとう今日、引き抜いてしまった。かくなる上はねずみ大根の種を入手するほかありません。

2008年6月11日水曜日

実にオヤマボクチな夜

 今日、外回りの仕事から帰宅途中、なじみの書店に立ち寄り、文〇界を立ち読み。冒頭の、同人誌のネットワークについての部分を読み、それから国土地理院発行の1/25000の地図を2枚購入。今回は関東平野と信州の境界を形作っている小さな山々が収録されているエリア。
 この頃、国土地理院発行の1/25000の地図を眺めていると、さながらGoogle Earthで上空から地形を俯瞰しているように見えて来るようになった。小さな沢の上流にwasabiが群生していたり、日当たりの良い南向きの斜面にoyamabokuchiが銀色の葉裏を光らせていたりする光景が見えたり。(ほとんど幻視に近いイマジネーション!!)


 6月5日に山で採取して来たOyamabokuchiの葉が乾燥し、触れればパリパリと音を立てるようになって来たので(写真右側の2枚。左の1枚はまだ生乾き。この葉の表の緑の部分を取り除き、裏の白い毛のような茸毛【じょうもう】だけを取り出す。)、精製作業の準備にかかる。

 昨秋のように手で揉んでというには葉の量が多いので、機械を利用することとし、Y電機へ行ってフードプロセッサーなる機器を購入。実はわが家は未だにハンドルを手で回す手動タイプの、その名も「みじん切り器」なるものしか所有しておらず、自分の趣味道楽のためだが家庭でも役に立つので電動式を購入することに。
 それで、今夜、早速、中心の葉脈を取り除いた葉をフードプロセッサーに押し込み、蓋をしてスイッチ・オン。お、おお、次第に粉砕されて緑色のふわふわした固まりになってゆく。それをホームセンターで購入した「園芸用篩」に付属していた3枚の網のなかでいちばん目が細かいものをセットし篩う。おお、葉の表の葉緑素が抹茶のように細かくなって篩の下へ落ちてゆき、葉裏の白い茸毛は残っている。それを何度もフードプロセッサーにかけ、篩にかけを繰り返しているうちに、徐々に緑色が薄くなってゆくではありませんか。やはり、昨秋、急遽、収集して来た茶色に枯れた葉よりも、6月の若い葉の方が、表の緑の部分と裏の白い茸毛の分離が簡単である。
 あ、そうか、しまった。どうせフードプロセッサーを買うのなら、プロの調理師たちが使う業務用のものをリサイクル・ショップで探せば良かった。もっと容量が大きいしパワーも強いはず。厨房用品はリサイクルショップのメイン商品だから探せば必ず見つかるに決まっている。あ~あ。


 今夜はこの程度で作業終了。
 それにしても、この状態から緑色の部分をすべて取り除き、真っ白な茸毛だけに精製するのは至難のわざであります。最後は鍋で8時間も煮て、さらに水を用いて不純物を洗い流すのだけれど......

2008年6月10日火曜日

人生はささやかでジャンクな虚構

 この頃すっかりソバの自家製粉実現に夢中な私は、市内に機械・工具専門のリサイクルショップがあることを耳にしたので、外回りの仕事の出かける振りをして、早速、行って見た。
 プレハブの事務所が入り口に置かれ、その奥の、倒産した小さな町工場の屋内に様々な中古機械や工具が並べられていた。
「モーターはありませんか?」
「あるよ」
 どこか映画の中で見たことがあるような風貌の主人があっさり答え、続けて訊いた。
「何馬力?」
「一馬力」
「あ、あるよ」
 彼の後をついてゆくと、棚の上に大小様々な中古モーターが並べられていて、彼は足元のコンテナに足をかけ、棚の上のいくつかのモーターのプレートを確認し、それから棚の上ではなく、足元のダンボール箱を乱暴に破るようにして開いた。保証票の上部1/4くらいが鼠に齧られたようにギザギザに欠けていた。
「これ、新品だけど16,000円」
「え、中古品は無いですか?」
「そこに一個あるけど12,000円だから、こっちの方が得だよ。なんたってこっちは新品だから」
 新品といったって未使用の新古品というやつで、生産された年月はだいぶ前のものなのだろうし、保証票が鼠に食われているような代物であるから格別に安いのでもなく、むしろ妥当な価格であろうから、少しは値切ってもいいはずだ。
「少しは安くなりませんか?」
「今メーカーから仕入れる新品だと5~6万するからね、16,000円は安いと思うよ。何に使うの?」
 話題を逸らして来た。
「製粉機にセットするんですよ」
「製粉機?」
「ソバを製粉するんです。」
「ああ、おれも蕎麦打ちますよ。〇〇製粉のソバ粉は買う度に風味に当たりはずれがあるので、××蕎麦の石臼挽きのソバ粉を買ってね。こんな商売、70になったらやめて、東京に戻って蕎麦屋をやろうと思っているんですよ。夜中に電動の石臼でゆっくりソバ粉を挽いて、それで数十人前の蕎麦を打って、売り切ったら暖簾を下ろしてね、そういう蕎麦屋をやりたいです」
 わたしは70歳になってから商売として人のために蕎麦打ちをする気になれません、と言おうとして私は口をつぐみ、話題を少し滑らせた。
「石臼って一時間に2~3kgしか挽けませんよね」
「そうだね、電動石臼も熱で風味を損なわないために昔の手回しと同じ回転で回すんだから、仕方ないよね。」
 彼の携帯電話の着信メロディが鳴った。森田童子の《みんな夢でありました》だ。笑えた。
 彼が建物外に出て電話の相手と話している間、私は彼の商品を見て回った。使い古された工具が多く、金額の張る機械類は少ない。これで食えるのか? と思った。
 以前からあればいいなと思っていたエア・コンプレッサーの中古が五台ほど並んでいた。微妙に中古な価格設定で、中古を買った方がいいのか、新品の安いのを価格ドットコムで探した方がいいのか判断に苦しんでしまう。その横に置かれているのは、なぜか、私同様に時代の間尺に合わなくなったみたいなB4サイズのコピー用紙のやや色褪せた箱が五箱。この組み合わせ、なんだか微妙に、人生はささやかでジャンクな虚構にすぎないのかもしれない、と思わせてくれるのでした。
 そういえば、このリサイクル・ショップの主人の風貌が誰に似ているか、思い出しそうで思い出せない。思い出せそうで、その一歩手前でまた忘却の彼方に引き戻されてしまう。
 私は彼が破いた段ボール箱の前に再び立ち、モーターに張り付けられた定格を記したプレートを見た。すると定格出力が1KWと刻まれているではないか。1馬力は750W=0,75KWであるはずなのに......。
「どうも済みません。孫から電話がかかってくると長くて困っちゃうんだよね。あ、どうします、モーター」
「これ、750Wじゃなくて1KWじゃないですか」
「あ、ああ、たいした違いじゃないよ。むしろ若干の余裕があっていいんだ」
「そうですか......」
 私は、彼の憎めない風貌と口調に負けてその新古品のモーターを買い、帰宅した。そして製粉機のメーカーにメールを入れた。
「私、貴社の製粉機AV-1型機を導入しようと考えておりますが、手持ちのモーターが規格の750Wではなく1000Wです。これでAV-1型機を動かすのには無理がありますか?」
「K社お客様係担当のO沢です。当社製品について、お問い合わせありがとうございます。弊社ではA1型の場合、750Wモーターを取り付けおり、それ以上になると、シャフトの耐久性等もあり付けておりません。 従ってお勧めは出来ませんが、稼働させることは可能であります。以上、ご検討下さいますよう宜しくお願い申し上げます」 

2008年6月5日木曜日

山は霧

 早朝、oyamabokuchi自生地へ行って生育状況の偵察。平地は曇りだったが、山は霧のため視界不良。
 まだ早いかなと思っていたが、結構、葉が大きくなっていたので一株あたり2枚を採取。しかも一ヶ所は予想していたより広い範囲に群生していることが判明。こんなに取れたら畑で栽培しなくてもよさそうなものを。
 すべて陰干しにして精製に備える。

2008年6月3日火曜日

この地上に自分以外誰もいないという錯覚

 雨なので、朝から、もう一ヶ月以上も処理できずにたまっていたデスクワークをしていたが、どうにも落ち着かない。午後になって、カッパ持参で山へ。
 往路30分。
 滞在30分。 

こんなすごい場所に迷い込んで、総毛立ちました、(これ全部山葵!!)

 種のサンプルを採取(これを発芽させるのは難易度がかなり高そう)。
 お醤油漬けの材料を少々採取(先ほど製造終了、明日から食べられます)。
 帰路も30分で、合計一時間半のお休み。
 むしろ雨降りの日に山へ行った方が、誰もいなくて静かでいい。
 この地上に自分以外誰もいないという錯覚は、つかの間であっても気分がいいものだ

2008年6月2日月曜日

ああ忙しい

 ネット・オークションで、家庭用100V電源で使える単相モーターの0,75KWのものを探したが、なかなか見つからない。工場などで使う三相200Vのものは掃いて捨てるほどあるが。三月、半年、日を置いてじっと検索し続けるか? それともとっとと諦める? 製粉業を営むわけじゃなし、あまりに本格的過ぎるような気もするので、もうちょっと家庭用にふさわしい機械に落ち着くかもしれない。
 あとは真空パック機と、脱酸素材の検索。どちらもあまり高くなく、簡単に入手できるはず。

 T屋さんが、自分がオヤマボクチを植える畑に幅155cmの黒マルチを二列張り、その隣にもう一列、私のために張ったから植えろという。好意を無にしてはいけないので、夕方、余ったまま水遣りをしていた苗を車に載せて現地へ出動。T屋さんが奥さんとふたりで植えている隣で、二条植えにしたら2×33本=66本植えられた。
 自分が借りた専用畑の方に150本植えたので合計すると200本を超えている。T屋さんはおよそ120本ほど。
 何だかなあ、ふたりともちょっと頭がヘンかもしれない。私などは自前の製粉機を設置しようとしているのだから、まったく常軌を逸している。

2008年5月30日金曜日

理不尽

 今朝は5:30頃菜園へ行き、私によって理不尽にも山から移植され、畑ワサビに変身中の彼らの周囲の草退治。
 敷き藁をした間から草が生えているので、いったん敷き藁を取り除いてから草を抜いた。
 すると、枯れて消えてしまったかと思っていた株もまだ生きていて、辛うじて小さな葉を展開してるのが判った。感激である。すっかり草を退治してからまた敷き藁を寄せた。ダイオネットで遮光もしたし、来年の春にはたくさんの茎が収穫できるかもしれない。
 私は、ずいぶんと植物に救われているのだな。
 でもワサビたちは言うのかもしれない。
 「なぜ、私たちはあんたなんかに食べられなきゃいけないの? なんか、理不尽!」
 そうだね、あの清水が流れる静かな沢からこんな殺伐として乾いた場所に拉致されて、やがては食べられてしまうなんて、理不尽だよね。(ワサビたちの声が女性らしい、のが笑えます)

2008年5月28日水曜日

電動製粉機検索

 久々にYou Tubeに入り浸り。
 J・Prévertがらみのシャンソンを聴く。それからゲンズブールの唄を聴きながら、電動製粉機の検索をする。
 結構お値頃な製粉機があるではないか。
 T屋さんが、昨年われわれがソバを製粉した製粉所について「中国産を混ぜているという噂を聞いた」と言ったが、まさかそれはないだろう。販売しているソバ粉については安い価格帯の物は中国産が混ぜられているだろうが、玄ソバを出して製粉を依頼したものに中国産を混ぜたら詐欺であろう。
 それで製粉機を探しているのではなく、種まきからソバ打ちまでの一貫作業だがどうしても製粉だけが他力になるので、製粉も自分でしたら完璧に一貫する、そう考えてのこと。

2008年5月19日月曜日

おお?


 茎どころか葉まで赤くなって来て、思わず期待(してまた落胆?)。

2008年5月14日水曜日

寒いと思ったら


 浅間山に雪です。
 電線や建物が邪魔にならない、いつも場所から。山頂の雲が待っていても消えないので待ちきれずシャッターを押してしまったが、その後はもっと雲が多くなった。

2008年5月11日日曜日

種まき病亢進


 これはWasabiの種の写真2回目。だいぶ、莢の形が明確になってきて、そのなかに種がありそうな雰囲気。
 今年はこの株は植え替えられて種が充実したものになるかどうか判らないが、なるほど、これで種の採取も不可能ではなくなって来た。発芽させる方法もオヤマボクチで試したのに近い方法で出来そうな気がする。

2008年5月6日火曜日

十字架植物・3


 昨年秋に畑の地主に2本いただいたねずみ大根を土に埋め、冬の間保温しておいたものから芽が出て茎が伸びて、ついに花が咲きました。大根の花は白かと思っていましたが、ねずみ大根はしろに薄い紫の縁取りがあり、昨日はきれいでしたが、今日はやや縁が萎れて来ています。
 さて、これも種になるでしょうか。
 この2本のねずみ大根、形状が私が昨秋作ったものよりもねずみ大根の特徴がよく出ていて、それで花を咲かせてみようと思ったのでした。
 ちなみに、大根もまた見たとおり花弁が4枚十字に開く十字花植物なのでした。

2008年5月5日月曜日

どちらも十字花野菜

 いつの間にか、ワイルド・ルッコラに蕾が出来ていて、花が開いているじゃありませんか。あれ、ワイルド・ルッコラも十字花の仲間でアブラナ科なんですね。ワサビもアブラナ科で、十字花。去年はタデ科とお付き合いし、今年はアブラナ科?



 そういえば、庭先ワサビの一株にも蕾が出来、花が咲いて、見れば種の莢のようなものが見えます。


 菜種のように莢のなかに複数の種が出来るようです。
 移植されたばかりなので、満足に実が入るかどうか判りませんが、しばらく写真撮影と観察をつづけてみることにします。

2008年5月4日日曜日

へたくそ

 先に帰省していた長男につづいて、昨夜遅くに二男も帰省。今日になって「蕎麦を食べたい」という。しかし、今夜は友達と温泉へ出かけるとか。明日には帰京するというのに無理ではないかと思ったら、夕食を食べてから遅い新幹線で帰るという。しかし、明日は昼間や夕方のんきに蕎麦など打ってはいられない。
 ということで、先ほど蕎麦打ちを開始。二八蕎麦で、800g。こね鉢が小さくて5合用なのでちょっとやりにくい。一升用もあるが、これは塗りがかかっていない木のムクのこね鉢なので、木に水分を吸われてしまって固くなりがちなので、最近は使っていない。とにかくなんとか捏ね、打ち延し、切って完了。ほぼ40分。まだ遅い。それにまだ切る幅が広い。へたくそ。
 これをポリ袋3つに分けて入れ、ポリ密封機で封をして冷蔵庫に入れておき、明日の夕方茹でて食べてみる。
 これ、実は遠方に宅配便で送って食べていただけるかどうかの実験でもある。
 挽き立て、打ち立て、茹で立てを食べるのが理想ではあるけれど、こういう試行も必要です。実際にはオヤマボクチをつなぎにしての十割をめざしていますが、ちょっとまだ蕎麦が固いので水分の調整が必要だがまだ把握できない。
 今になって葉先が尖っていて明らかにオヤマボクチとは違うようなので、Googleの画像検索でハバヤマボクチを検索してみたら、やはり葉が剣先のように尖っている。葉も枯れてボロボロの晩秋種を採取したので、区別が付かず採種、混入したらしい。これは一応、選別して植えないでおこう。