しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2011年11月26日土曜日

今年度ソバ栽培総括・憤怒悲嘆篇



午前中、Tさんからトラクターを借りてN原のソバ畑を耕してきれいにして来た。
枯れたソバの茎がバリバリと音を立てて土の中に鋤き込まれ、姿を消してゆく。
これで、今年の狂乱怒涛のソバ栽培は終了である。

この畑で、Tさんといっしょに四回ソバを栽培してきたが、来年はもうここでは栽培しないことに決めた。
ソバ栽培の技術のほとんどをこの畑でTさんに教わり、また自分で考えながら身に着けて来たので、もうここでソバを作らないとなると感傷的にならざるを得ない。初めの二年は、アルツハイマー病で今は特別擁護老人ホームに入所しているTさんの奥さんの姿も畑にあった。どこかに行ってしまわないように、Tさんはトラックの助手席に奥さんを乗せたまま、ロープで車のドアを縛って播種作業をしたのだった。
「Kさんは何の歌が好き?」
Tさんの奥さんは数分置きに同じ言葉を繰り返した。
私は問われる度に「石原裕次郎の赤いハンカチ」と答えた。
あまりに同じ質問をされたので、その度に異なる答えをするのが面倒で横着をしたのだったが、たまに気紛れで別の歌手の別の歌を口にすることもあった。するとTさんの奥さんは暗い顔をして沈黙してしまうので、私はちょっとだけ自分を悪い人間だなと思うのだった。

このN原でのソバ栽培はTさんとの共同栽培であり、余剰の分はふたりとも製粉会社に売って、私はといえば電動石臼などのモーター購入資金など、製粉にかかわる機材の整備に充てて来たのだった。

しかし、今年度より始まった農水省のソバなど畑作物への戸別補償制度によって、昨年まではkgあたり350~380円だった買入価格が、製粉会社は、戸別補償で市町村から出るであろう金額の概算金であるkg当たり200円を差し引いて、kg200円という不条理な買取価格を提示したのだった。
そのことに憤慨し、私は来年度からは自分の分以外は栽培しないことに決めた。

戸別補償を申請してソバを栽培したひとは、それでは何円になったのだろう?

戸別補償を申請しなかった、われわれのような趣味的栽培者や、自家用に栽培して余った分だけを売りに行く高齢者などは、1kgたった200円で売り渡さざるを得ない。
そうやって安く玄ソバを買い取ったからといって、その製粉会社のそば粉は相変わらず1kg袋を昨年と変わらず1500円、1600円で販売しているのである。
何だ、ソバの戸別補償とはソバの自給率を上げるため、農家のソバ栽培意欲を増すために出されるのではなくて、製粉会社を儲けさせるために創設されたのでしたか。
何だかこの製粉会社が、悪代官と結託して暴利をむさぼる時代劇「水戸黄門」に登場する悪徳ソバ粉問屋みたいな気がしてなりません。
手刈りして人力で脱穀してって、江戸時代と変わらない非効率な栽培をしているんですから、仕方ありませんか。
でも、素朴に採算が合わないソバを作り続ける零細ソバ栽培農家と、素朴に蕎麦が好きで蕎麦を食べられるひとの間に、こんな業者が存在してひとり肥えていることに抗議して、私は来年度から自分が食べる以外のソバは作らないことにします。
でもそれだと残間里江子さんに揶揄された「蕎麦打ち男」に成り下がるっていうことなのかもしれなくて……それも嫌だなあ……とほほ……ウァーン・゚・(ノД`)ヽ(゚Д゚ )ナクナョ~てば。

2 件のコメント:

  1. なんだか、割りに合わないですね。
    200円だと、元がでないですね。

    どのくらいが採算が合うのでしょうか?

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  2. 夢八様、コメントありがとうございます。お名前は以前から存知あげておりました。
    手刈り、天日乾燥という弥生時代からの方法では採算は考えられないと思いますが、200円はひどいです。500円でも10aあたり100kgでも50,000円にしかなりませんが、栽培期間が短いし収穫がタイヘンだけでほかは手がかかりませんから、仕方ありませんね。
    トラクターで播種してコンバインで収穫し、ha単位で栽培すればもう少し採算がよくなると思います。

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