しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2012年2月3日金曜日

ソバ栽培に関するどこまでも非科学的類推

昨年の秋、おいしいと評判のソバを栽培している畑のいくつかを巡るという至福の小旅行を経験できたのだったが、それらの山上のソバ畑を見学して共通して驚いたことがあった。
それは、どの畑もソバの足元に他の雑草ではなく「スギナ」がびっしりと群生していることだった。
「スギナ」は土壌のPH(土壌酸性度)の指標になる植物であって、スギナが生えている畑は普通の野菜はすくすく生長しない。
酸性だとうまくチッソやカリなどの陽イオンの成分が吸収出来ないし、火山灰土壌が特徴の日本の酸性土壌に多いアルミナ(アルミニウムの酸化物)がマイナスイオンの燐酸分を固定して作物が吸収出来なくしてしまう。。ところがどっこい、ソバはアルミナや他の陽イオンに固定されてしまって吸収できないはずの燐酸を、根から分泌する有機酸で溶かして吸収するし、人間でいえば炭水化物に相当するチッソ肥料もそんなにたくさん必要としない。
そういう栄養が多いと、ソバは茎や葉を伸ばすという栄養生長に専念するばかりで、花を咲かせ、受粉して実をつけるという生殖生長をしなくなる。
人間も植物も、栄養十分な形で生物学的に満たされていると、どうも子孫を残すという意味での生殖生長がおろそかになってしまうようだ。
ソバはことにそうであるらしくて、実は私が昨年、自家用野菜を作るために石灰を撒いて土壌酸度を中性に近づけ、なおかつチッソ・燐酸・カリを含む肥料を十分に散布した菜園のばれいしょを栽培した後地に「対馬ソバ」を播いたところ、いつまでもいつまでも茎や葉が成長しつづけ、ついにはその高さ2mにもなって倒伏し、収量が幾らも無かった。しかも製粉してみたらおいしいはずの「対馬ソバ」が鼻につくような悪臭がし、しかもたまらなく不味かった。
これは「対馬ソバ」のせいではなくて、私の肥培管理の拙さが原因であるとしか考えられない。

そうか、ソバはそもそも痩せ地で短期間に栽培出来る「救荒作物」であった。

ソバは栄養十分な畑ではなく、荒地で育ってこそ充実した種実を残すのだった。
「ソバの赤すね」という。秋になるとソバの茎はアントシアニンを生成して赤くなる。その原因を「ストレス」という言葉で説明する人がいた。
人間の病気も「ストレス」原因といわれることがある。
でもちょっと、待って下さい。
具体的にどういうストレスが生じ、それがどのような作用をして病気、あるいは「ソバの赤すね」という症状を引きおこすのでしょうか。
「ソバの赤すね」は、おそらくソバが栄養生長から生殖生長に転換しようとしている証明なのではないでしょうか。
一種の栄養飢餓状態に陥ってこそ、ソバは充実した実(子孫)を残そうとするのだが、十分な栄養は望むべくもない。
そういう、飢餓寸前のぎりぎりの栄養状態のソバこそが、デンプンやタンパク質でパンパンに詰まった実を残すのかも知れない。

どちらかといえば酸性気味の土壌。
根が耐水性に欠けているので、水田はだめ。出来れば緩やかに傾斜した畑。
石灰や肥料分はできるだけ少なめ。
気温は低め=標高が高い=あるいは低地であれば播種時期をぎりぎり遅くする。

今年は、このことを念頭から忘れないようにしてソバを栽培する場所を準備しよう。

さらに、刈り取りは黒化率70%を目標にし、乾燥している間は雨に遭わせない。
脱穀後の乾燥はほどほどにして、水分16%~15%にとどめ、決して過乾燥にしない。
などなど、結構ソバ栽培のハードルは高い。

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