しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2012年4月4日水曜日

赤すね物語

これは3月2日に播種したなかから選抜、仮植したrhubarb。その後続々と播いた育苗箱のものも選抜し始めているが、どうも水をたっぷりやってしまうと赤の鮮やかさが薄くなってしまうような気がする。これは多分、水分が多いと肥料分、ことに窒素の吸収も多くなるので、クロロフィル(葉緑素)の生成が多くなり、アントシアニンの生成が少なくなるからかもしれない。
だいたいがアントシアニンによる赤い色は、紅葉がそうであるように、秋になって気温が低下すると窒素の吸収が少なくなり、アントシアニンの生成が活発になる。春から夏への気温上昇期にあっては、むしろ窒素の吸収量も多くなり、葉緑素、クロロフィルの生成が多くなるので緑が濃くなる。

だから、このように赤い色を発色するのはまだ気温が上がるまえの5月6月前半と、10月末ころの霜が降りる前であって、気温30度くらいの真夏にはどうしても緑色が強くなってしまう。
そこで、真夏にも赤を発色する株を探し出そうという試みだが、なかなかむずかしい。多分、死ぬまでに見つからないかもしれない。


他方、こちらはソバ。茎がとても赤いし、細い。ソバの茎は普通はもう少し茎が太い。
これをソバの赤すねといい、昔からあまり誉められない。
なぜ、誉められないかというと、要するに、赤すねが一種の栄養不良状態をあらわしているからである。
ある場所で、ソバの赤すねはストレスが原因だと明言する人がいたが、どうもストレスという言葉は使うには都合がいい言葉だが、どうも真実を覆い隠してしまうような気がして信頼できない。
私が知りたいのは、どういうストレスからソバの茎が赤くなるか、である。
ソバが十分に栄養を吸えない状況、それはひとつだけではない。
先ずは土壌に肥料分そのものが無い場合、あっても土壌酸度が強くてそばの根が肥料分を吸えない場合、あるいは旱魃で水分が少なくて肥料分が吸えない場合、気温が低くて十分に肥料が吸収できない場合、排水の悪い畑で水分が多すぎて根が張れず栄養が十分に吸えない、などぱっと考えただけでこれだけのケースが出て来る。
ソバ畑の周囲だけが赤すねで、畑の中のソバは茎が青いという場合などは、明らかにそこだけ乾いて水分が不足するからであろうし、あるソバ栽培地で目撃したことだが、ソバの茎の周囲にびっしりスギナが生えていて驚いたことがある。
スギナは土壌が酸性であることを教えてくれる植物であり、スギナが生えている土地は酸性が強いのでほうれん草などは発芽はするが、成長できずにやがて消えてしまう。他の作物でも土が酸性だと根の伸びも悪いし肥料分の吸収も悪い。だからソバの茎も秋の終わりのような赤い色になってしまう。
しかし、ソバの赤すねが必ずしも悪いとは思わない。確かにやや栄養不良状態であるから収量は多くならないだろうけど、ソバの実は過剰な窒素吸収をしていないので、味はいい。
標高1000m以上の高冷地で栽培されたソバがおいしい蕎麦になるのも、高冷地ゆえに栄養状態が存在すれすれの栄養不良状態で子実の充実をはかるからではないか。
いずれにしても窒素を十分に、あるいは過剰に吸収させられた植物はみな味が悪い。米もそうであるし、野菜もそうである。
葉物野菜などは窒素過剰であれば苦味さえ感じる。
窒素の多い畑で2mにも伸びたソバから獲れたソバ粉は実に不味かった。
窒素の過剰吸収は確実に味を落とす。
吸収された窒素や他の養分が光合成によってしっかりとデンプンやタンパク質に転化させられたソバの方が、未消化の窒素や養分のまま収穫されたソバよりもおいしいに決まっている。
だから、ソバが赤すねであることをまったく否定的に見るのは間違っているのだ。
収穫前になってほどほどに赤い茎のソバを作るべきなのである。

それにしても、早春や晩秋に茎が赤くなるのは気温と窒素吸収の相関関係から納得できるにしても、真夏でも鮮やかな赤を発色するというのは、どういう仕組みからなのだろう? 単に遺伝的形質? ううむ。
趣味の領域を越えて偏執狂的であります。