しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2014年2月4日火曜日

もうあれこれ栽培するのはやめよう

このところずっと、拡大鏡片手にエラが張ったり翼のような有翅の鬼ソバを排除していた秘境の貴重な在来種。一応種子として残せそうなものが300gになったので、残りのわずかは選別をやめ、排除した鬼ソバといっしょに試食用の製粉をした。
少量なので、玄碾きで二度碾き。それを30目で篩って260g。少量で打ちにくいが、一度味見する程度の量は確保できた。
種子用の300gは多分今年は栽培しないだろうから、エージレスを入れ、真空パック機で空気を抜いてから密封し冷凍保存。

そういえば、去年栽培した近くの有名避暑地の地名がついた在来種も50gから2,2kg収穫できたが、今後誰かが栽培するあてもなく中に浮きそうな気配なので、この際、どんなソバか確かめるために、500gくらいは製粉して試食してしまってもいいだろう。
今年はあまり振り回されずに、自分が美味しいと思うソバだけを栽培する。

2014年2月3日月曜日

ダッタンソバの碾き分け

少し時間が空いたので、Tさんに1袋持って行ってあげたら在庫ゼロになってしまったダッタンソバ粉を製粉。
と言ってもダッタン蕎麦を打つためではなく、健康のためにそば湯にして飲用するのが目的です。ルチンは血圧を下げるだけでなく、血管そのものも丈夫にしますので。



磨きと石抜きをし、歩留まりが判るように10kgを計り、先ずはそば殻排除のために粗く挽き割りし、ダッタンは粒が小さいので2mmの篩で篩ってみたらみごとにそば殻が篩上に残り、篩下の砕かれた実や粉の山には、そば殻の欠片は数えるほど。
それをさらに50メッシュで篩うと、粗い外層と白くて細かい内層粉にみごとに分離。内層粉はそのままにして、粗い甘皮を電動石臼で碾く。
苦味のあるダッタンソバは電動石臼では碾きたくなかったが、ある程度微粉に碾くためには仕方ない。だいたい、手碾きも電動も目立てをすべて粗碾き仕様にしてあるのはこういう時に不便だと気がついた。ひとつくらいは細かく碾ける石臼を置かなければ。いっそ茶臼をひとつ?

ということで、ダッタンの碾き分けはこんな感じ。



拡大してみると、左の内層粉にまだ点々と外層粉らしいものが見えます。
篩をもう10メッシュくらい細かいのにすれば、真っ白な内層粉になったかもしれません。
ただし、圧倒的にデンプン質が多いと思いますので、これだけで蕎麦は打てないと思います。
最終的には外層粉、内層粉を混ぜて普通のダッタンそば粉に戻すべきでしょう。製粉会社ほど微粉ではないが、混ぜれば普通のダッタンそば粉になります。

混ぜないで右側の黄色い方だけをたとえばお湯に溶いて飲んだら、いったい普通ソバのルチンの1000倍? 2000倍? 「飲むダッタンソバ」です。
血管が丈夫になって100歳まで生きたら困りますね、(ーー;)

2014年1月31日金曜日

マイブーム「投じ蕎麦」

急いで食べてしまったので写真が撮れませんでしたが、今夜、今年になって3回目の「投じ蕎麦」。
使用したのが下の「投じ篭」。おそらく私が小学校高学年だった頃にはあった、かなりの年代もの。


カセットコンロに具材と汁を入れた鍋を載せ、この投じ篭に軽くゆでた蕎麦を入れ、鍋の汁の中に浸けて蕎麦が温まったら自分のお椀に入れ、具材と汁を入れて熱々の蕎麦をいただきます。
具材は鶏肉、しめじ、下仁田ネギ、白菜、くらいで凝ったものは入れません。一度、スーパーマーケットで売っていた冷凍物をスライスした鴨肉を使ってみましたが、田舎のスーパーで売っているものは固くてダメでした。
ちなみに蕎麦は粗碾きの「乗鞍(番所)在来」と細碾きの「奈川在来」を5:5で混ぜてつなぎ無し。ちょい切れましたが美味しかったです。

2014年1月30日木曜日

逆説的「在来種の証明」

13日に触れた、県内の秘境の在来種のすさまじい鬼ソバ。


篩にかけてある程度の鬼ソバは排除したつもりだったが、残りをもう一度拡大鏡で除いて観察すると、まだまだ矢羽についたのやらエラの張ったの、三稜でなくて四稜、五稜のやら、異形粒があるわ、あるわ。
どの本か記憶にはないが、北海道のキタワセソバは在来種の牡丹ソバから改良されたものというが、やはり矢羽がついているものなどの異形粒が多く、それも品種改良の目標のひとつでもあったという。

この県内の希少な在来種も異形粒の割合があまりに多すぎて度胆を抜かれたが、考えようによっては、この異形粒の多さが、逆説的に、改良の意図もまったく持たずに作っては翌年の種にして播く、そういう単純な作業を長いこと隔絶した山の中で続けられて来たという、いわば「在来種の証明」になるような気がした。
そこで、単に試食用にいただいただけなのだが、いったんこれらの異形粒をすべて選び出してしまい、今年、どこかに少し採種用に播いてみようかという考えになった。
すべて手作業で拡大鏡でのぞきながらなのでひと晩では終わらない。
とりあえず選別したものを200粒数え、1g単位のデジタル秤なのでそう正確ではないが計ってみた。
200粒で5g。とうことは1000粒だと25g。1000粒重は25g。在来種ではまあまあ標準か、やや小さめな方。
こそばや奈川在来、番所在来のようにふっくらして稜が丸くなったタイプではなく、以前栽培した木頭在来のように三稜がはっきりしたまま小粒化した感じ。
木頭在来は完全秋型らしくて栽培に失敗したが、こちらは同じ県内なので大丈夫だろう。
今年はあまり種類は作らないつもりだったが……(ーー;)

2014年1月29日水曜日

仕組みを少し手直し

夕方、電動石臼のドレッシングは後まわしにすることにして、先ずホッパーから物入れに落とす仕組みを少し手直しした。
ついでに石臼の目を点検したら、やはり目はまだいいが、山の上の部分はドレッシングした方が良さそう。
どうも、デンプンとタンパクでは碾かれる仕組みというか、機構が異なるのではないかという疑念が生じて来た。そのことを理解して目立てすれば、粒度分布が広いそば粉が碾けるようになるような気がする。あとはひたすら投入量の調整だけ。

さるところに気になる石臼が売られている。
石の材質は好みのタイプだが、直径が大きすぎるのと、大事な部分にかなり大きな欠けがあるのと、値段が高いのとで買う気にならない。
ま、よほど気に入った臼でなければもう買いませんが。

2014年1月28日火曜日

粗いのと細かいのと

粗碾きの粉ばかり残ってしまっているので、奈川ともう1種類、小粒な在来種を微粉に碾くべく電動石臼を調整。
インバーター付きやコンピュータ制御などではない、ただ昔からの石臼にモーターを付けただけで、回転数が1分間に15回と固定している上に、ホッパーから物入れに落とす仕組みが非常にアナログでアバウトな作りなので落下量の調整が難しい。
とにかく落下量を少なめにセットして、しばらく様子を見て篩にかけてみて、以後は自動運転してたまたま様子を見に行くだけ。

玄ソバを粗く割ってそば殻を排除したものを1回碾きで粒度分布の広いそば粉にするのは相当難しい。
そこで、粗い粒中心の粗碾き粉と、細かい粉中心の微粉の粉とを色々な率で混合して蕎麦打ちをし、どのあたりが美味しく、適度な混合率となるのかという試行。

2014年1月27日月曜日

熟成という言葉には惑わされない

この頃、蕎麦について「熟成」という言葉を頻繁に見たり聞いたりするようになった。
ただし、打った蕎麦の熟成と、玄ソバの熟成というように二通りの使われ方をしている。

打った蕎麦の熟成は、打ってひと晩なり二晩なり冷蔵庫に寝かせることを「熟成」というらしいが、まあ、美味しいのはせいぜいひと晩が限界で、二晩、三晩寝かせた蕎麦を、私は美味いとは思わない。
酵素による発酵が始まってしまうのか、蕎麦の香りとは異なる発酵臭が発生してしまっている。
あの発酵臭を蕎麦の香りだ味だというひとは、嗅覚がかなり鈍感なのではないか。

それから玄ソバの熟成。
これも私は胡散臭いと思っている。
新ソバよりも年を越した寒中のソバが旨いという程度の熟成は解らないでもないが、二年、三年熟成させた玄ソバってどうなのか?
玄ソバが酸化したり、高温で香り成分を含む脂肪酸が劣化してしまうといった、ソバの風味を悪くしてしまうのが普通の経時的変化なのだ。
たとえばガスバリア袋に玄ソバを入れ、なおかつ念のために脱酸素剤を封入して真空パックし、恒温恒湿の冷蔵庫に一年、二年と寝かせたところで、どのように美味しい玄ソバに変化=熟成するのか? 
眉に唾を付けざるを得ない。
そうした保管が劣化を防ぐことは理解できるが、どのような化学変化をして熟成した美味いソバになるのか、科学的に納得できる説明をしてほしい。


2014年1月26日日曜日

キラキラ光る美しいもの

粗碾きのそば粉を十割で水回しし、こねて丸出しして延しはじめると、表面にキラキラ光る雲母のようなものが見えることがある。
デジタルカメラで接写してみたがきれいには写らない。
このキラキラ光る美しいものは、純度の高いデンプンのかたまりなのだろうか。

2014年1月25日土曜日

自然体のそば粉

手碾きの、しかも粗碾き用に目立てした石臼で碾いたそば粉という限定した範囲での話になりますが、粒度分布のグラフで50メッシュのあたりで極端に少なくなります。
100メッシュ以上から60メッシュあたりまで最初の山があり、50メッシュあたりでぐっと減って、そしてまた40メッシュから30メッシュの間あたりに最初の山より小さなピークがあり、篩で篩い出さない限り、25メッシュとか20メッシュ、10メッシュと漸減してゆく。
メッシュの細かい方の大きい山は、おそらくデンプン主体の粉であろうし、50メッシュを境にして次の山を形成しているのはタンパク質や脂肪などを含んだ、固く繊維質の多い甘皮主体の粉であろう(甘皮にくっついているデンプンも多少は混じっているはず)。
多分、このパターンがそば粉のいちばん自然な形の粒度分布なのではないか。
言ってみれば、無理の無い自然体のそば粉です。
こういう粉を生粉打ちし、きちんと1,3mmくらいに切る。
それが理想形かもしれない。

2014年1月24日金曜日

タンパク質向上技術

小麦生産の世界では、小麦のタンパク質向上技術が研究されている。
蕎麦のつなぎに用いる小麦粉はタンパク質があまり多くなく少なくもない中力粉がスタンダードだが、中華麺とか、フランスパンとか、うどんとか、用途・目的によってはタンパク質が多い粉が求められる。
そこで、複数の試験場等で試みられているのが出穂期のチッソの追肥によるタンパク質の増加である。
タンパク質は根から吸収されたアンモニアがアミノ酸に変えられ、さらにタンパク質へと姿を変えてゆく。つまり、タンパク質はアンモニアがないと生成されない。ということで出穂期のチッソ追肥が試みられた。
出穂期にチッソを追肥する、あるいは追肥を10aあたり3kgだったのを6kgに増量する。その結果、小麦に含まれるタンパク質が平均で2%増えた、という。小麦に含まれるタンパク質が10%から10数パーセントであることを考えると、2%の増加は非常に効果として大きい。

で、ソバはというと、やはり花が咲き始めたらチッソを与えればタンパク質が増えるらしい。時期としては開花が始まった頃、あるいは草丈30cmくらいになって中耕除草をする、その直前。
ただし、茎が中空でもろく、もともとチッソが多いとすぐに倒伏する蕎麦に窒素を追肥するなんて、ソバ栽培のイロハをある程度知っている栽培者からみたら、正気の沙汰ではないと笑われるかもしれない。
多分、どのようなソバ畑でも出来る追肥ではない。そばを連作し、ある程度養分が少なくなっている畑でしか試行できない。
ソバの窒素吸収量の許容量の狭さを考えれば、それも多分、10aで窒素成分1kg~2kgといった少量の追肥しかできないだろう。難易度はかなり高いが、一応、頭の中に入れておくべき栽培技術ではある。

まあ、今年はいろいろ試行すべきことがたくさんある。

2014年1月23日木曜日

それが問題だ

ソバの黒化率について改めて少し調べていた。
同じ畑の黒化率66%で刈ったソバと黒化率97%になってから刈ったソバとでは、そば粉のタンパク質含有率が1%も差が出ているデータに遭遇した。
黒化率が上がってタンパク質が増えているのではない。
その反対に1%も減っている。
減ったタンパク質はいったいどこへ、何に変化してしまったのか?
全たんぱく質が15~16%くらいのそば粉タンパク質に1%の差は大きい。

いろいろ考えているうちに、黒化率50%の早刈りといっても、コンバインの早刈りは刈った時点で実だけに脱粒されてしまうので、「後熟」が無いことに気づいた。
鎌や稲刈り機、草刈り機などで刈ってそのまま天日干しし、10日ほどしてから脱穀する場合には十分に「後熟」する。
それがたいした差ではないのか、たいした差なのか、それが問題だ。

2014年1月22日水曜日

これは不自然

腰痛騒動以来初めて、手碾きで1kgほど30メッシュのそば粉を碾いた。
殻ごと碾く玄碾きで、いつもの粗く割って蕎麦がらを排除するのと違って、そば殻も最後に篩い出すやり方である。
Tさんがそば殻も碾きこんだ黒い蕎麦の方が美味いとか言うので、意地になってやってみたという側面もあるが、いちばんの主眼は蕎麦の「透明感」の検証である。
粗いのでつなぎ無しは無理であるし、ちょっと確認してみたいことがあったので、3割のつなぎを混ぜた。
その3割のつなぎの内訳は、1,5割の強力粉と1,5割のさらしな粉。
で打った蕎麦がこれ。
茹で過ぎなのと、うっかり外からの直射日光に当たる位置で撮影したものだからホワイトバランスがおかしくなった。



ふうむ。透明感が出たような出ないような。
ま、出たとしても自然に出た透明感ではなくて人為的にさらしな粉を足しただけなのであまり誉められたものではないし、私自身としてもこういう蕎麦がいちばん好きというわけではないので、もうあまりしないだろう。
横から手を出してつまみ食いした妻は3割のつなぎが入った割りには香りも味もいいとは言ったが、私はそば殻に風味があるとは思えないし、やはりもっと白く、香り、味ともにピュアな蕎麦が好きだ。


その点で、昨年秋のソバは刈り遅れたせいだろう、香りがちょっと弱いのが不満。
今年は刈り取り適期を逃さないようにしよう。

2014年1月20日月曜日

夢のとうじ蕎麦

一家全員といっても3名だが、インフルエンザだかノロウイルスだか不明のウイルスに襲われて、ようやく全員が回復してきたので、寒いこともあり、本日は「とうじ蕎麦」をしてみた。「とうじかご」という小さな竹で編んだ篭にそばを入れ、汁と具材の入った鍋に篭ごと漬けて蕎麦があたたまったら自分のお椀に入れ、具と汁と入れて熱々のところを食べる。
久しぶりの「とうじ蕎麦」ですが、厳寒のこの時期にふさわしい食べ方です。
数年前に、或る場所でマツタケがどっさり入った「とうじ蕎麦」を食べた記憶があるので、あれを超える「とうじ蕎麦」はもうありえないのだけど。

2014年1月19日日曜日

蔕の目糞(ヘタのメクソ)

どうも汚い言い方だが、片倉康雄先生も「手打そばの技術」の中で何回か言及されている。そばの実のお尻のあたりに位置していて、枝から実へ栄養を運んでいた、いわば人間の臍帯がポロリと取れた部分のようなものだが、製粉するとそこが赤味を帯びている。
それを片倉先生は「ヘタのメクソ」といって目の敵にされて、その方法は公開しないが、排除する方法を考案したと言われる。

写真の蕎麦は実入りの悪かった「こそば」なのでそば殻の排除がうまく出来ず、ずいぶん点々とそば殻の砕けたものが混じっているように見えるが、実はよく見るとそば殻だけでなく、赤っぽいのは「ヘタのメクソ」。
玄びきでなく、脱皮したぬきを製粉してもこの「ヘタのメクソ」は排除できない。
「ヘタのメクソ」より少しだけメッシュの細かい篩でふるえば排除できるのだが、それでは粗いそば粉の粒も排除されてしまい、粒度分布が微粉に偏ったそば粉になってしまう。
むずかしい。