しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2014年4月18日金曜日

霧下蕎麦はなぜうまいのか考えていて

「霧下蕎麦」といって、高原の霧が出る地帯のソバはうまいという。
その根拠は何なのだろう。
昼夜の温度差が大きいからとも言われる。確かに夜温が低い方が光合成で得た糖分が植物本体の呼吸によって消費されずそっくり実に転流するので、デンプンの蓄積は多くなる。
が、霧下蕎麦がうまい理由は果たしてそれだけだろうか。
霧が出るということは、霧下でない畑よりも太陽の光が当たる時間が短いということであり、むしろ光合成による糖分の生成が霧の出ない地域よりも少なくなって、どちらかといえばデンプンが少ないソバになる。
もうひとつ、霧が出る→すなわちその分だけ日照時間が短くなる→開花・受粉が盛んになる→増収という考え方も出来るが、ソバの風味には関わってこない。
さらの霧下地域ではそうでない地域よりも土壌水分が失われにくい→根の養分吸収が順調→ことに窒素同化作用が順調→アミノ酸やタンパク質の生成が盛んになる→甘皮部分のタンパク、ミネラルが豊富になる→風味豊かなソバが収穫できる。
と考えると、私はこれまでソバの生産適地は山のなかの斜面にある傾斜した畑だと思ってきたが、どうも干ばつを受けやすいほどの斜面は避けた方がいいのかもしれない。長時間の降雨でも滞水しない程度の傾斜があって、保水もある程度いい方が養分吸収には都合がいい。
ことにタンパク質の多い玄ソバを収穫するためには、適度な窒素を補給してやり、アンモニア→アミノ酸→タンパク質という窒素同化作用をきちんと働かせなければならない。
現に、小麦の世界だけでなく、ソバの世界でもある時期のアンモニアの追肥でタンパク含有量の多い玄ソバを生産する試みは始まっている。
窒素が多ければ倒伏というソバ栽培最大の落とし穴が待っているので、なかなか難しい問題ではあるけれど。

2014年4月14日月曜日

こんなものがありました~~~


私が頭の中でイメージしているものにいちばん近い感じです。ボードの位置を上下調整できるようになっていますし、結構、優れものではあります。
ただしこのボードの波打っている形がいまひとつ合点がいきません。刈ったソバをまとめて捉える形はどういう形がいちばんいいのか?
ボードはこの樹脂製ではなく、この金具を使ってアルミ板で好みの形に試作してみてもいいですし、ソバの適期刈り取りの強~い味方になるかも~~~。

プロアマ問わず、蕎麦を打たれる皆様、いくら手刈り天日干しがいいといっても、鎌の手刈りでは百坪、百五十坪が限界ですwww……<m(__)m>

2014年4月11日金曜日

音の雫

インターネットラジオで耳に入って来たのがこのMarilyn Crispellのamaryllis。You Tubeで検索してみたら、すでに削除済みなので代わりにこの曲。


いろいろ検索したらAmazonでアルバム「amaryllis」、入手可能。
さて。

2014年4月10日木曜日

集中力を欠いたらOUT

2月の1mの積雪で再発した腰痛をかかえたまま繁忙期に入ってしまい、このところ蕎麦が食べたいけれど蕎麦が打てない、と妙なジレンマに陥ってしまいました。
そこで、夕食後、腰痛ベルトを着用の上、こっそり蕎麦を打ってみました。


そば粉がこんな感じでつなぎなしでは危ないので強力1+薄力1の外二八で水回し。
粗目の粉であればこそ、つなぎの意義も十分に感じられました。
ただし、やはり足腰の痛みに気が散るのか、切りにムラが生じてしまいました。
蕎麦打ちというのは、つくづく、集中力を欠いたらOUTと思います。
打った蕎麦は、明日の昼食がひとりでの食事となりますので、その時に茹でていただきます。

2014年4月6日日曜日

春の兆し

自家用の菜園へ行ってみたら、腰痛のため冬前に耕せなかった場所を先日トラクターで耕したので、種子更新用に少し栽培した戸隠在来の種のこぼれタネが発芽していました。やはりまだ寒いので赤すねです。




それから、ルバーブの芽が目立ってきたので、株の周囲の枯れた茎や葉の片づけをしました。これは蓚酸が多いので畑の外に持ち出すようにと海外のサイトに書いてあったので、毎年実行しています。
ソバもルバーブもタデ科。どうしてそんなにタデ科の植物が好きなの? と家の者たちが……。


試作した小麦もだいぶ伸びて青々して来ましたが、どうも窒素の効きにムラがあるようです。この小麦は、Facebookの蕎麦友達がうどんを打ちたいというので収穫したら小麦粉にして送る約束でしたが、この2月末に亡くなられてしまいました。この麦を見るたびに彼を思い出してしまいます。ちょうど亡くなる一年前に一泊二日の蕎麦ツアーで行動を共にしているので、そのときの笑顔が忘れられません。

2014年4月5日土曜日

あいかわらず

菅原金治郎先生の昭和49年の本から。

……また、タネまき後に降雨があれば、やわらかくふくれあがっている地表は雨滴にたたかれて沈下し、地表に薄いフィルムをつくる。このフィルムは、緻密にできた紙状になって、空気中から地中に空気が入る道をふさぎ、また地中にできた炭酸ガスの発散をできなくする。そして発芽しようとするタネが、呼吸困難のため、窒息するばかりでなく、大気の温度が地中に浸透することもさまたげられることになる。

地表に薄いフィルムという表現に驚きました。
とにかく、ソバは発芽にも生育にも土の中の酸素要求量がかなり高いということで、一徹な菅原先生は「畑ソバ」の栽培と敢えて書かれていますが、やはりソバ畑は水平な減反水田などではなく、ある程度傾斜した山の斜面の畑に作るのが理想なのかもしれません。

2014年4月4日金曜日

播種期=日長と気温

ソバというのは思いのほかデリケートな作物ではあります。

長友先生は「衰弱花」といい、菅原先生は「不完全花(メシベ生育不完全花)」といわれる。
両者、言葉の違いはあるが、要するに日長と気温によってソバの花のメシベが発育不全になって受精能力を持たない=実がつかない状況を指しています。
日長時間が長い、気温が高い、どちらもソバの受精、結実に悪影響を及ぼす。
だからこそ、日長と気温の関係など科学的に知ったのではなく、長い月日をかけて経験的に把握した先人たちが、各地のソバの播き時についての言い伝えを残している訳です。
この地では「ソバは土用の土を三日被ればいい」と言われている。
土用の土を三日被るというのは、毎年同じではないがほぼ8月7日頃。
私の場合、まだ3日から一週間くらい早いようです。近年、9月の気温が高めに推移していることを考えると、もう何日か遅らせてみたい気もしますが、秋の霜が恐くもあります。
今年はぎりぎりまで矯めて播種し、その上、霜が降りるまえにとっとと刈り取りしたいものです。

2014年4月3日木曜日

菅原金治郎先生曰く(2)

ソバは、日長とか温度に敏感な作物であるために、遠方からタネを取り寄せると、実を結ばない危険があるため、タネの交換も安易に行われない。ソバの品種には、日長に対してはかなり長日に適するものから、単日に適するものまである。また温度に対しても、高温から低温に適するものまでいといろある。こうした一連の反応を示す品種群のなかで、一品種はその連続した日長、温度の一部分に適合して存在しているのである。
たとえば北海道につくられるソバは、日長にはわりあい鈍感であっても、温度には敏感である。ソバは単日植物であるといいながらも、栽培期間の日長が短い南方の高温の地に北方の品種がつくられると、メシベの生育障害が起こり、花は咲けども実はつかないという結果に終わる。
一般に東北、北海道につくられるソバは早生型で、種まきから開花までの期間が短い。したがって草丈もあまり高くならないのが普通である。これに対して、四国、九州に作られるソバは晩生型で、栄養生長も盛んで、北方のソバに比べて二~三倍くらい生長量も多い。
こう解りやすく書いていただくと、なるほど。
当地で九州や四国のソバを播いてみたら、確かにむやみに草丈は長くなるわ、花が咲くばかりでなかなか実がつかないわ、そのうちに霜が降りてしまって散々な結果でしたが、納得です。

2014年4月2日水曜日

菅原金治郎先生曰く


このようにソバは温度によって栄養生長期間が長くなったり短くなったりするから結実に影響ない範囲内で、生育初期は高温にすごさせた方が得策である。
ソバは、冷涼な気候に育つ作物であるというが、それは開花、結実の時期のことで、植物体を作らなければ花の数も少ないし、また結実数も少ないので、花が咲く前には草丈もあるていど高くし、葉も大きくして、光合成がよく行われるように植物体をつくることが必要であろう。秋ソバの収量が多いのも、このような関係があることも一員をなしている。(「ソバの作り方」より)

2014年4月1日火曜日

日長時間を計算してくれるページ

Web上に、日長時間を計算してくれるページがあったので、当地の8月7日と10月7日を計算してみました。
8月7日は約14時間、10月7日は11時間46分。
やはり問題は9月に気温が下がってくれることですね。
近年は9月に気温が下がらないことが多いので、ソバの花のメシベの生長に悪影響をおよぼしているような気がします。
9月が8月並みに暑いのはマツタケの出が悪いだけじゃなくて、ソバのためにも好くないに決まっています。

(もっともマツタケが豊作の年はソバは不作という言い伝えを耳にしたことがあります。多分、マツタケが豊作ということは気温はともかく雨が多いので、ソバの受粉には雨が良くないので、そういうことになるのかもしれません)

2014年3月29日土曜日

そば刈り用アタッチメント

どうも2月の大雪でぶり返した腰痛が、繁忙期に突入したせいか、治りません。ロキソニンの飲み薬、張り薬が欠かせなくなりました。

昨年は台風で倒伏したためソバを手刈りしましたが、一週間もかけて手刈りしていると黒化率が上がってしまって、コンバイン収穫のソバ同様、デンプンの多い完熟タイプのソバになってしまいがちです。
そこで、今年は倒伏させないのが至上命令となるのは無論ですが、刈り取りも稲刈り機でダメなら、草刈り機を使って一気に刈ることを目標にします。
とはいえ、ただ草刈り機を使ってもバラバラくしゃくしゃになって後始末が大変なので、草刈り機用のアタッチメントを改造し、ある程度まとめてきれいに刈り倒すことを考えています。いわば、そば刈り用アタッチメントです。
秋までに、何とか完成させたいとあれこれ手描きでメモしています。

2014年3月27日木曜日

ねずみ大根栽培研究、再開?

最近は辛味大根でも種苗会社の交配種は春まきが出来るものが増えて来ましたが、昔から自家採種などで栽培されてきたいわゆる固定種の辛味大根は、8~9月に播種して11月頃収穫という秋まきが普通でした。
最近、ある蕎麦店のご主人と話をしていて、ねずみ大根をもっと早く収穫できるように栽培できませんかと相談されました。暑い夏にこそ、冷たい蕎麦をねずみ大根の大根おろしで食べたいのだそうです。
種苗会社には「雪美人」とか「辛丸」とか、春まきの辛味大根があるじゃないですかというと、種苗会社の辛味大根は一方的に辛いだけで、ねずみ大根のように辛味と甘みが二重唱というか、フーガのように追い駆けてくる大根おろしがいいんですよ、との返事。
なるほど。
そういえば、どこかで標高の高い高冷地では5~6月まきも可能と書かれていたのを読んだ記憶があります。
また、数年前に知人から分けていただいたねずみ大根の種を栽培し、収穫したなかから形がねずみ大根の形質に近いものだけをもう一度畑に植え、翌年花を咲かせて5月か6月頃に採種の真似事をしてみたことがありますが、その時こぼれた種が発芽して早い時期にねずみ大根が採れたことがありましたから、ひよっとすると6月まきくらいだったら栽培可能かもしれません。
手元に、昨年夏に播いた種の残りが30粒くらいありますので、5月後半に播種してみようかと思います。ただし、アブラナ科の作物は薹(とう)立ちしやすいので、昨年の種では薹立ちしてしまうかもしれません。
新種が6月くらいには販売されるかと思いますので、早々に入手して播種すればいいかなと思います。
「蕎麦の薬味は大根おろし!!」党の一人として、ねずみ大根は秋播きという常識に逆らって、今年は少し栽培研究してみます。

2014年3月25日火曜日

ソバと窒素同化の問題点

植物は光合成で糖を生成し、それをデンプンに変える。
ではたんぱく質はというと、根から吸収したアンモニアをグルタミンとグルタミン酸の再生産をしながら、アミノ酸に変える。さらにアミノ基転移反応によっていろいろなアミノ酸を作り、それらを組み合わせてタンパク質を作り上げてゆく。
要するに植物は光合成でデンプンを、窒素同化でタンパク質を作ってゆく。

植物は、ふつうアンモニア態窒素を吸収していても、それが多すぎなければ、溢泌液中には遊離のアンモニアはほとんど見られず、ほとんどがアミノ酸態などの有機態である。もしアンモニアが多すぎて有機化しきれず、アンモニアのままで多量に地上部へ送られると、光合成が阻害されるなど、いろいろ悪いことがおこる。根はアンモニアを有機化して無毒にしているのである。
過剰のアンモニアが生体にとって有害であることは医学の領域ではよく知られている。人間はアンモニアを同化できず、植物としてとったタンパク質を消化して利用するが、その過程で余分となった窒素分はアモニアとなって遊離してくるので、これを無害な尿素にかえて排泄する。この機能が損なわれ血液中のアンモニア濃度が増加すると昏睡状態に陥るなど、致命的な障害をひきおこす。
これに対して植物は、元来アンモニアを同化できるし、硫安や塩安など肥料としてアンモニアを施用するくらいなので、アンモニアが作物にとっても有害であるという認識はあまりなかった。しかし、過剰施肥や農耕地の富栄養化の傾向がすすむにつれて、アンモニアの過剰害が実際にあらわれるようになった。(中略)
アンモニアを過剰に吸収すると植物はこれを全部タンパク質にかえることができず、からだのなかにアミノ酸やアミドなどの中間物質としてたまってくる。
これらは植物に寄食する昆虫や微生物にとって好ましく、したがって植物の側からすれば被害を受けやすいことになる。またアンモニア態窒素が過剰の場合は、炭水化物がアンモニアとの反応に取られてしまって細胞壁部分に回る分が少なくなり、その結果病害虫の侵入や倒伏に対する機械的抵抗性が弱くなる。  (「作物栄養の基礎知識」高橋英一著より引用) 

ふう。これをソバにイメージしてみる。
前作などの関係で残留窒素が多く、窒素過剰で2m近くに伸びたソバは倒伏は無論のこと、開花しても結実が少なく、また収穫した玄ソバを製粉して蕎麦にすると異常に不味い。
異様にえぐみが強く、苦味、雑味も多く、雑臭もする。
不味くて臭くて食べられない蕎麦。
アンモニア態か、硝酸態か、亜硝酸態か、あるいはアミド、アミノ酸か、いずれにしてもタンパク質にまで至らないこれらの物質たちがソバをまずくする。

うーん、そのあたり、もう少し実証的なデータがほしい。

ソバの後熟というのは、刈ったのちも光合成と窒素同化をたとえどれだけでも進めて風味を良くするという意味からもとても納得。

2014年3月24日月曜日

ソバの風味が良くなるように

養分のなかで、アンモニアの同化に最も関係の深いものとしてカリがある。カリが欠乏すると吸収したアンモニア態窒素がタンパク質になりにくい。このことはカリが窒素同化に関係する酵素のはたらきを活発にする作用があること、またカリの欠乏によって光合成が低下することからもうなづけよう。(「作物栄養の基礎知識」高橋英一著 150頁より)
 カリウムが欠乏すると、体内で可溶性の糖類やアミノ酸、アミドが増加し、デンプンやタンパク質の含量が少なくなる。このようにカリウム欠乏植物では。光合成や呼吸あるいは窒素の同化が順調に行われず、デンプンやタンパク質の合成が減退する。(同 188頁より) 
いちばん面積の大きいN原のそば畑は、先に貸借していたTさんがそばを栽培し始めてから私が受け継いで、すでに十年くらい経過している。
その間、そばの倒伏を怖れて無肥料での栽培を続けてきて、そのおかげで倒伏はしなくなったが、どうもそばの風味が薄らいできたような気がしないでもない。
ということで、今年は窒素は少量だが、他の必要と思われる灰分(ミネラル)は積極的に施用してみようと考えている。
どう考えても、灰分(ミネラル)が豊富である方がそばの風味が豊かになるように思えるので。