しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。
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2015年1月28日水曜日

生粉打ち・マイブーム

腰痛のため、2週間ほどあまり動かないでいましたが、今週初めから30分ほどウォーキングしています。舗装道路は硬くてきついので、川の堤防沿いの未舗装の道を歩いています。川の水面を動く鴨や白鷺などを眺めたり、ソバを叩くのにちょうど良さそうな二又の木の枝を発見したり、車での移動が普通の目には別世界です。


このところずっとつなぎの小麦粉を使わない生粉打ち、十割蕎麦です。
きちんと水を吸わせればつながることを再確認しました。
しかも生粉打ちの方が風味が際立ちます。
いくつもの在来種を生粉打ちしてみましたが、風味の差が歴然とします。たんぱく質の多い玄ソバ、デンプン質の勝った玄ソバ、個性がはっきり舌で感じられます。
ますます、楽しくなって来ました。
これまでの生粉打ち用の粉は安全のため50目で篩いましたが、そろそろ40目に移行してみようかなと考えています。

2015年1月14日水曜日

切りそろえが良くないのはご愛嬌

歩くとふくらはぎがどんどん痛くなる、「間歇跛行」という腰痛から来る症状が現れまして、ここ何日か、引きこもり生活をしておりますが、歩かなければ痛くならないので、今日もまた生粉打ちの練習。失敗が多いですが、今日はつながりました。
切りそろえが良くないのはご愛嬌。



やはり40メッシュにすれば楽につながりますし、のど越しも断然良くなります。
香りも、案外ピュアな感じで判りやすくなりました。
これで粗碾き卒業かも知れません。

2014年12月30日火曜日

サイクロン

昨日は自分用の蕎麦を少量打ちした。
30目下の粉だったせいか、水回ししてもほとんど香りはしなかった。
今日はお世話になった家に届ける蕎麦を1,5kgほど打った。
40目下の粉だったせいか、水回しの際に結構、香った。
同じ玄ソバであっても、粒子によって香り方が違う。
甘皮を碾きこむ割合が同程度なら、微粉ほど香りが立つ。
しかし、水回しで香ったからといって茹で上がった蕎麦が香り高いとは限らない。かえって、水回しで香り成分が逃げ、茹でて逃げといった風に考えられないことも無い。

そういえば、かつて製粉工場を見学した際に驚いたのは、ロール式の製粉機で製粉されたそば粉が、パイプでつながれたサイクロン式の空気圧送方式によってシフターに運ばれたりしていることであった。
あんな風にエアのサイクロンで動かされたり篩われたりしたら、香気成分などみんな揮発、雲散霧消してしまうだろうにと思った。
さて、あの時同時に見学した電動石臼での製粉はどんな風に篩に運ばれていたのだろう? 見た記憶が無い。
あの当時はまだ、数十台の電動石臼が動いているのをみただけでびっくりして、そこまで見る余裕がなかった。

明日は自宅用と仕事絡みの知人の二軒分で1,3kgくらいを、午前中に打つ予定。

2014年12月15日月曜日

そのあたりを知ることが出来れば

小麦とソバはまったく異なる穀物ではあるけれど(正確に言えば小麦は穀物だが、ソバはただのタデ科の草の実に過ぎない)、その実の組成という点では似ている。
早い話が真ん中にデンプン、皮の部分にミネラルを多く含んだタンパク質と脂質を持っているという点でがものすごく共通している。
そのミネラルやたんぱく質の微量な差異が、確かな風味の差となってしまう。

穀物のデンプンはどうやって作られるか、穀物のたんぱく質や脂質はどうやって作られているか、そのミネラルの組成は? 
そのあたりを知ることが出来れば………。

2014年12月13日土曜日

わが道を

しばらく前に直売所で購入して来た長野県推奨の「信州ひすい蕎麦」のそば粉。
県と生産者との取り決めで、玄ソバは買えないらしいのでそば粉を購入しましたが、500gで950円は高い(おいしければ文句は出ませんが)。

打ってみたらこんな感じ。
甘皮の緑色が濃いというのが売りなはずですが、これでも新ソバ? という色合い。
香り薄く、味も普通。
これが新ソバだったら、黒化率上がってからのコンバイン収穫ということか。それにしてもインパクト無し。
これではひすい蕎麦の評価は上がらず、やがて消えてゆく運命となるかも。

ま、わが道を行きます。

2014年12月12日金曜日

ソバの実は

国際肥料工業会 (International Fertilizer Industry Association) によると、リン酸肥料が使用される主な作物とその割合は、小麦が18%、野菜・果物が16%、米、トウモロコシがそれぞれ13%、大豆が8%、サトウキビが3%、綿花4%となっている
 ソバの実は、
実は、
小麦以上に、
ミネラルとしてのリンを含有している!!

 

2014年12月5日金曜日

遺伝子の記憶

製粉したままだったK町在来を今夜、試食。
おとなしい蕎麦。癖が無く、デンプンが勝った蕎麦というか、これじゃ江戸蕎麦。
先日、むちゃくちゃ野生的な蕎麦に遭遇したばかりなので、ほんとうに対極的な蕎麦。
同じソバで製粉の仕方も同じようにしたのに、在来種としての来歴が異なり、栽培した畑が違うだけで、味がこんなに違ってしまうのかと衝撃を受けた。
遺伝子が何かを記憶しているのだろうか。
K町在来は、残念ながら来年以降は栽培しないことになるだろう。

そういえば、菜園のルバーブの複数の株が、この真冬を迎える時期に蕾を伸ばしていた。
それは南半球から来た種子から選抜した株だった。
北半球では、通常、ルバーブが蕾を持つのは6月である。つまり、今は南半球での蕾の時期である。
日本に来て、世代が変っているのに、遺伝子はまだ南半球での開花時期を記憶しているのだ。

2014年11月25日火曜日

たった10目の違いの間に横たわる大きな風味の差

一昨日テスト製粉したK町在来を試し打ちし、試食。
ただし山ノ神が温かい蕎麦を強く主張したので、泣く泣く鳥南蛮に……(号泣)
そこそこ美味しかったことは事実。
しかし、やはり、たかが篩の40目と30目、その「たった10目の違いの間に横たわる大きな風味の差」を実感。
粒度分布を考えれば、やはり篩は粗いに越したことはない。
が、30目より粗い粒子は私の拙い蕎麦打ち技術では歯が立たないし、食感にも問題がある。30目くらいが限度。

2014年11月21日金曜日

むふ~



夕食後ではありますが、ようやく少量を試し碾きしたさる在来種を打ってみました。
いつものように粗く碾き割ってそば殻を排除してから電動石臼で碾き、40目で篩ったものに篩い上を少々混ぜたものを二八で。

結果。
蕎麦の香りというより、穀物臭が強い。
蕎麦の香りは、やはり刈り取り適期に刈ったものでないと望めないのかも。
その刈り取り適期って? むふ~。

2014年9月14日日曜日

採種?

7月半ばに一泊した民宿でいただいてきた在来種のきゅうり。スーパーマーケットで売られている現代のきゅうりとは食感が異なり、さくさくしていい感じでした。サラダによく、また白瓜の代わりに粕漬けにしてみたら、これも食感がよくておいしかった。
取り残しをそのままにしておいたら、こんな容貌になりました。


伝統野菜に指定された在来種ですので、採種しないつもりでしたが、自家用に限定すればいいような気もしますので、今日、一応採ってきました。

この本によれば、これで一週間ほど追熟させてから割って中身を取り出し、一昼夜ポリ袋に入れて発酵させ、それから水洗いして種だけを残し、乾燥させればいいのだそうです。


今日もまた蕎麦。
先日の電動碾きの40目の粉。風味、コシ、のど越しのバランスがとれた蕎麦を打つためにはこれくらいが最善ではないにしても次善かなと思います。
気温が下がってきたせいか、蕎麦がおいしくなってきました。

2014年9月9日火曜日

最悪の夏

最後のソバの種を播いてから一ヶ月が経過しました。
とんでもなく雨が多く日光が差さない夏になってしまい、ソバ栽培にはまったく最悪の夏になってしまいました。
当地の8月の日照時間は平年より100時間少なく、積算温度も100度近く少ないということです。



ただし、写真の7月25日に播いたソバと、8月2日に播いたものはそこそこがんばって花が咲き、実をつけ始めています。8月8日に播いた主力のソバ畑は情けないくらい成長が悪いですが、それでも花を咲かせています。



まだ調整中のソバ吉君4号で、少し試し碾き。あまり使われていなかったらしく、粉の排出は左側の一ヶ所を除いてほぼ均等に出ている。ただしやはり手碾きの32cmは、この年齢で腰椎すべり症治療中の身が碾くのはきついし、碾け過ぎず、粗過ぎずの落とし込み量を見出すのは一回や二回ではとても無理。
とりあえずは30目か40目で篩って、近日中に味見してみます。

2014年3月23日日曜日

階上早生を試食してみたい

しばらく前にネットで検索して「武蔵野と水車屋―江戸近郊製粉事情 」といっしょに購入した古書「ソバの作り方」は、昭和49年第一刷発行なのでデータはだいぶ古いですが、焼畑や人糞を使ったボッタまきやアワセまきなどについても書かれていて、いわゆる戦前のソバ栽培が知れて実に面白いです。



また、スキャナーで取り込んだ表をアップしましたが、品種によるタンパク質の差を小原氏が検定したというデータに目が釘付けになりました。(果皮をむいたむきみで計測されたとのことです)
著者の菅原金治郎先生も本文で、同じ青森県で栽培された青森階上早生が風乾でタンパク質が18,16%、藤坂在来種が13,42%と、品種によってタンパク質含量かなりの差が認められると書かれていますが、タンパク質18,16%のソバっていったいどんな味がするんでしょう?
どなたか階上早生の玄ソバ、お持ちの方いらっしゃいませんか? 

それにしても、昭和49年になっても「信濃1号」とは書かずに「信州ソバ」と書かれているのは学者の意地なのでしょうか、ちなみに菅原先生は岩手大学の教授でした、^_^; 

2014年3月22日土曜日

ひとつの試論

文部科学省の「食品データベース」でそば粉を検索して見ると面白い。
通常は「廃棄率」、「エネルギー」、「水分」「タンパク質」、「脂質」、「炭水化物」、「灰分」だけしか表示されないが、検索結果表示にオプションがあって、「無機質」、「ビタミン」、「脂肪酸」、「その他」、「アミノ酸」にチェックを入れると各データが表示される。
「無機質」にチェックを入れるとこんな風にミネラルの含有量を見ることが出来る。



注目すべきは内層粉、中層粉と比べての表層粉に含まれる無機質、いわゆるミネラルの量が多いこと。ことにカリウム、リン、マグネシウムの三成分は群を抜いている。
このうち、カリはいいとして、いちばん吸収されにくいのはリンである。ことに火山灰土(黒ボク土)ではアルミナなどに固定されてしまい、作物に吸収されにくい。

とにかく、これらのミネラルをいかに必要量をソバの根に吸収させるか。このあたりに今年のソバ栽培の眼目にしておこう。

ソバだけでなく、小麦も米も、デンプン質以外の風味は外層にある。うどんの風味は小麦粉の灰分(ミネラル)が多いほど強いし、蕎麦もそうである。
ということは、外層に多く含まれるミネラルがその鍵を握っているのではないか。
いずれにしても、ソバに多く含まれるミネラルをきちんと補給することが必要だろう。ことに初めて、あるいは数年は無肥料でも構わないが、それ以上の長く同じ圃場でソバ栽培を続ける場合は、チッソ・リン酸・カリの三要素のほかのミネラル分も意識的に施用しなければ風味の薄いソバしか収穫できなくなるかもしれない。
含有量の多いものは吸収量も多い。そう考えていいのではないか。
とはいえ、これはひとつの試論にすぎない。過ぎないが試行してみる価値は十分にある。

そうそう、「無機質」のほかに香りと関係のありそうな「脂肪酸」も表示させてみよう。

2014年3月21日金曜日

アクと風味は表裏一体なのかもしれません

Facebookのお友達である増田さんが次のようなことを書かれました。
昔の野菜はアクががもっと強かったような気がします。今どきはホウレンソウでさえ全然平気で生食できるくらいです。品種改良のたまものなんでしょうね。
これは私の仮説で何の根拠もないことなんですけど、昔のソバはアクが強かったんじゃないかと思うんです。だからアク抜きのために寒晒にしなくてはならなかった。新蕎麦を食べると腹を壊すと、江戸時代の初めの頃までは言われていたらしいです。
「寒曝しは臘月連殻のよき蕎麦を用いて水に浸す事三十日、立春の日取出して曝し乾し、収め蔵す。用ゆる時、杵磨して麪となして食ふ。尤人に当らず。」(本朝食鑑 元禄時代)
たぶん18世紀ころには品種改良が進んで、ソバもアクが無くなったんじゃいかと思います。18世紀の『蕎麦全書』著者の日新舎友蕎子は、新蕎麦を食べて腹を壊すのはただの食べ過ぎで、毒なんかあるわけがないと書いています。
それを読んで、つい以下のようなコメントを書いてしまいました。
野菜のアクとソバのアクを同列に論じるのはちょっと危険かもしれませんが、少し書かせていただきます。

ほうれん草のアクの減少は品種改良という側面もありますし蓚酸という独特の成分の作用もあります。
が、いわゆる窒素同化が順調に進めば、根から吸収されたアンモニアからアミノ酸へ、アミノ酸からさらにタンパク質へと変わっていって最終的には旨味となるわけですが、アンモニアが過剰に吸収された場合、ことに硝酸態窒素や亜硝酸態窒素として過剰吸収され、アンモニアに還元されないまま硝酸態窒素や亜硝酸態窒素が葉に蓄積されている場合、そんなほうれん草を食べますと強い苦味やえぐみを感じます。信州特産の野沢菜でも、窒素を過剰に吸収したものは漬けても食べられないほどの苦味を呈することがあります。窒素がきちんと同化されてアミノ酸やタンパク質に変われば旨味になるのですが、過剰だと苦味がすごくなります。

ソバの場合も、私が経験した限りでは、残留窒素の多い畑で蕎麦を栽培して背丈が2mにも伸びて倒伏し、それでいて花をどんどん咲かせていたようなソバから収穫された玄ソバは、強い苦味、えぐみがあるように思います。根から吸収されたアンモニアがアミノ酸→タンパク質として甘皮に蓄えられてゆく過程で、ソバの茎葉が持つ窒素同化作用を超えるほどの過剰なアンモニア吸収があった場合、アミド態窒素という形で蓄積されますす。多分、このあたりに苦味、えぐみの原因があるのではないかと推測していますが、もうひとつ自信がありません。
ただ、お茶の玉露の栽培では日覆いをして過剰に窒素肥料を与えることでお茶の苦味や渋みなどを生成させているという話も聞きました。
ソバの場合も、アクと風味は表裏一体なのかもしれません。早刈りのソバの香りや風味が強いと言われる問題にも通じると思いますが、難しいですね。

2014年2月9日日曜日

そば殻に味はある? 無い?

石臼自家製粉の蕎麦屋さんでも、丸ぬきしか製粉しない蕎麦屋さんと、玄ソバから製粉する蕎麦屋さんに分かれます。
前者はおそらくそば殻はピュアな蕎麦の風味を追求するのに邪魔な存在なのでしょうし、後者はそば殻にも蕎麦の風味に寄与する何かがあると考えての玄碾きなのでしょうが、いったいどちらが正解なのでしょう。
そば殻を口に入れてしばらく噛み続けてみましたが、どうも蕎麦の風味に共通する味は出て来ませんでした。

こんなことを書くのは、実は私のソバ栽培の師匠にあたる人が「皮まで碾きこんだ黒い蕎麦がうまい」と言い張るものですから、眉に唾つけながら本当かなと思いまして。
果たして、そば殻に味はあるのでしょうか、無いのでしょうか?

2014年2月6日木曜日

初めてのダッタン蕎麦


ダッタンソバを2年試験栽培しながら、まだ一度も麺としてのダッタン蕎麦を打ってみたことが無かったので、先ほど試し打ちしてみました。家族は誰も食べないであろうから、ダッタンソバ粉150gにたんぱく10の小麦粉をつなぎに30gの二八。
ただし、ダッタンソバのルチンは水でルチン分解酵素が働いてケルセチンになり、それで苦味を生じるので、さらしなの変わり蕎麦のように湯ごねとした。湯温は沸騰したお湯だとだまになりやすいので、湯温は80℃くらい。
そば粉の組成がタンパク質が少なめでデンプンが多いのか、粗めのそば粉や更科粉で打っているのと似た感じで、結構、延しがむずかしく、力を入れすぎると周囲にひび割れがします。
畳むとそこで切れそうなので、包丁の長さ以上に長く切るのを断念。

茹であがりはこんな感じで、案外切れませんでした。
試食してみると、苦味は予想より弱かったですが、喉に落とした後にやはり苦味、渋みを感じます。ダッタンソバ湯として飲むために外層ぎりぎりまで碾きこんだので、余計にそうかもしれませんが、蕎麦にするんだったらやはり普通のそば粉と配合すべきかなと思いました。ただし、それもかえってどちらの個性も消し合ってしまって、中途半端な蕎麦になってしまうかも。
やはりダッタンそば湯にして直接ルチンを摂取、血管を丈夫にする方が良さそうです。

2014年1月28日火曜日

粗いのと細かいのと

粗碾きの粉ばかり残ってしまっているので、奈川ともう1種類、小粒な在来種を微粉に碾くべく電動石臼を調整。
インバーター付きやコンピュータ制御などではない、ただ昔からの石臼にモーターを付けただけで、回転数が1分間に15回と固定している上に、ホッパーから物入れに落とす仕組みが非常にアナログでアバウトな作りなので落下量の調整が難しい。
とにかく落下量を少なめにセットして、しばらく様子を見て篩にかけてみて、以後は自動運転してたまたま様子を見に行くだけ。

玄ソバを粗く割ってそば殻を排除したものを1回碾きで粒度分布の広いそば粉にするのは相当難しい。
そこで、粗い粒中心の粗碾き粉と、細かい粉中心の微粉の粉とを色々な率で混合して蕎麦打ちをし、どのあたりが美味しく、適度な混合率となるのかという試行。

2014年1月27日月曜日

熟成という言葉には惑わされない

この頃、蕎麦について「熟成」という言葉を頻繁に見たり聞いたりするようになった。
ただし、打った蕎麦の熟成と、玄ソバの熟成というように二通りの使われ方をしている。

打った蕎麦の熟成は、打ってひと晩なり二晩なり冷蔵庫に寝かせることを「熟成」というらしいが、まあ、美味しいのはせいぜいひと晩が限界で、二晩、三晩寝かせた蕎麦を、私は美味いとは思わない。
酵素による発酵が始まってしまうのか、蕎麦の香りとは異なる発酵臭が発生してしまっている。
あの発酵臭を蕎麦の香りだ味だというひとは、嗅覚がかなり鈍感なのではないか。

それから玄ソバの熟成。
これも私は胡散臭いと思っている。
新ソバよりも年を越した寒中のソバが旨いという程度の熟成は解らないでもないが、二年、三年熟成させた玄ソバってどうなのか?
玄ソバが酸化したり、高温で香り成分を含む脂肪酸が劣化してしまうといった、ソバの風味を悪くしてしまうのが普通の経時的変化なのだ。
たとえばガスバリア袋に玄ソバを入れ、なおかつ念のために脱酸素剤を封入して真空パックし、恒温恒湿の冷蔵庫に一年、二年と寝かせたところで、どのように美味しい玄ソバに変化=熟成するのか? 
眉に唾を付けざるを得ない。
そうした保管が劣化を防ぐことは理解できるが、どのような化学変化をして熟成した美味いソバになるのか、科学的に納得できる説明をしてほしい。


2014年1月23日木曜日

それが問題だ

ソバの黒化率について改めて少し調べていた。
同じ畑の黒化率66%で刈ったソバと黒化率97%になってから刈ったソバとでは、そば粉のタンパク質含有率が1%も差が出ているデータに遭遇した。
黒化率が上がってタンパク質が増えているのではない。
その反対に1%も減っている。
減ったタンパク質はいったいどこへ、何に変化してしまったのか?
全たんぱく質が15~16%くらいのそば粉タンパク質に1%の差は大きい。

いろいろ考えているうちに、黒化率50%の早刈りといっても、コンバインの早刈りは刈った時点で実だけに脱粒されてしまうので、「後熟」が無いことに気づいた。
鎌や稲刈り機、草刈り機などで刈ってそのまま天日干しし、10日ほどしてから脱穀する場合には十分に「後熟」する。
それがたいした差ではないのか、たいした差なのか、それが問題だ。

2014年1月22日水曜日

これは不自然

腰痛騒動以来初めて、手碾きで1kgほど30メッシュのそば粉を碾いた。
殻ごと碾く玄碾きで、いつもの粗く割って蕎麦がらを排除するのと違って、そば殻も最後に篩い出すやり方である。
Tさんがそば殻も碾きこんだ黒い蕎麦の方が美味いとか言うので、意地になってやってみたという側面もあるが、いちばんの主眼は蕎麦の「透明感」の検証である。
粗いのでつなぎ無しは無理であるし、ちょっと確認してみたいことがあったので、3割のつなぎを混ぜた。
その3割のつなぎの内訳は、1,5割の強力粉と1,5割のさらしな粉。
で打った蕎麦がこれ。
茹で過ぎなのと、うっかり外からの直射日光に当たる位置で撮影したものだからホワイトバランスがおかしくなった。



ふうむ。透明感が出たような出ないような。
ま、出たとしても自然に出た透明感ではなくて人為的にさらしな粉を足しただけなのであまり誉められたものではないし、私自身としてもこういう蕎麦がいちばん好きというわけではないので、もうあまりしないだろう。
横から手を出してつまみ食いした妻は3割のつなぎが入った割りには香りも味もいいとは言ったが、私はそば殻に風味があるとは思えないし、やはりもっと白く、香り、味ともにピュアな蕎麦が好きだ。


その点で、昨年秋のソバは刈り遅れたせいだろう、香りがちょっと弱いのが不満。
今年は刈り取り適期を逃さないようにしよう。