しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2014年3月21日金曜日

アクと風味は表裏一体なのかもしれません

Facebookのお友達である増田さんが次のようなことを書かれました。
昔の野菜はアクががもっと強かったような気がします。今どきはホウレンソウでさえ全然平気で生食できるくらいです。品種改良のたまものなんでしょうね。
これは私の仮説で何の根拠もないことなんですけど、昔のソバはアクが強かったんじゃないかと思うんです。だからアク抜きのために寒晒にしなくてはならなかった。新蕎麦を食べると腹を壊すと、江戸時代の初めの頃までは言われていたらしいです。
「寒曝しは臘月連殻のよき蕎麦を用いて水に浸す事三十日、立春の日取出して曝し乾し、収め蔵す。用ゆる時、杵磨して麪となして食ふ。尤人に当らず。」(本朝食鑑 元禄時代)
たぶん18世紀ころには品種改良が進んで、ソバもアクが無くなったんじゃいかと思います。18世紀の『蕎麦全書』著者の日新舎友蕎子は、新蕎麦を食べて腹を壊すのはただの食べ過ぎで、毒なんかあるわけがないと書いています。
それを読んで、つい以下のようなコメントを書いてしまいました。
野菜のアクとソバのアクを同列に論じるのはちょっと危険かもしれませんが、少し書かせていただきます。

ほうれん草のアクの減少は品種改良という側面もありますし蓚酸という独特の成分の作用もあります。
が、いわゆる窒素同化が順調に進めば、根から吸収されたアンモニアからアミノ酸へ、アミノ酸からさらにタンパク質へと変わっていって最終的には旨味となるわけですが、アンモニアが過剰に吸収された場合、ことに硝酸態窒素や亜硝酸態窒素として過剰吸収され、アンモニアに還元されないまま硝酸態窒素や亜硝酸態窒素が葉に蓄積されている場合、そんなほうれん草を食べますと強い苦味やえぐみを感じます。信州特産の野沢菜でも、窒素を過剰に吸収したものは漬けても食べられないほどの苦味を呈することがあります。窒素がきちんと同化されてアミノ酸やタンパク質に変われば旨味になるのですが、過剰だと苦味がすごくなります。

ソバの場合も、私が経験した限りでは、残留窒素の多い畑で蕎麦を栽培して背丈が2mにも伸びて倒伏し、それでいて花をどんどん咲かせていたようなソバから収穫された玄ソバは、強い苦味、えぐみがあるように思います。根から吸収されたアンモニアがアミノ酸→タンパク質として甘皮に蓄えられてゆく過程で、ソバの茎葉が持つ窒素同化作用を超えるほどの過剰なアンモニア吸収があった場合、アミド態窒素という形で蓄積されますす。多分、このあたりに苦味、えぐみの原因があるのではないかと推測していますが、もうひとつ自信がありません。
ただ、お茶の玉露の栽培では日覆いをして過剰に窒素肥料を与えることでお茶の苦味や渋みなどを生成させているという話も聞きました。
ソバの場合も、アクと風味は表裏一体なのかもしれません。早刈りのソバの香りや風味が強いと言われる問題にも通じると思いますが、難しいですね。

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