しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2011年12月16日金曜日

利き蕎麦ならぬ、利きソバ粉

午前中、仕事で出かけている間に、Tさんの知人でやはり蕎麦を打つYさんから電話があったといい、電話番号が書かれていたので、こちらから電話してみた。Tさんから事前に話はあったが、ソバを製粉してほしいということだった。毎年製粉を依頼している製粉会社が、小口の製粉を交換方式にしたり、量が少ない場合は割高になるように改悪されたので、それを嫌ってのことだった。
玄ソバが37~38kgくらいあるというが、素人が空いた時間に製粉するには20kg以内がいいのでその旨伝えると、とりあえず1袋、18kgを軽トラに載せて持って来た。
それで、午後になってとりあえず磨きだけしておこうかと循環式精米機にかけたが、磨きあがってピカピカ光っているはずの玄ソバの顔色がはなはだよろしくない。異様に光が鈍く精彩を欠いているのである。
ひょっとするとこれは、今年収穫されたソバではないのではないか、とピンと来た。
そのまま碾き割って、ハナ粉を篩い出しておいて、それから唐箕にかけてそば殻と割れを分離。続けて製粉機にかけて一番粉を採ってみた。一番粉はもともとサラサラきしきししているので良く判らないが、どうもかなり乾燥している模様。
(こういう時に水分計があればいいのだが、来年以降、余裕があったら買い揃えたい)
それから一番粉を採った残りを電動石臼にかけたが、ホッパーいっぱいにして一時間くらいは自動運転させておいて、補給と篩いをつづけながら碾きつづけ、先ほどようやく碾き終えた。二番粉を指先で摘んで舌の上に載せてみた。やはり水分が少なすぎて、口の中の水分が粉に奪われてしまい、ソバの風味が薄い。
三番粉を碾きはじめ、また指先に摘んで舌の上に載せてみた。ようやくナッツのような風味が感じられたが、それにしても口の中の水分が奪われて、それから風味が立ち現れるので妙なタイムラグがあり、今年のソバの甘皮に比べれば風味は6割くらいかもしれない。
私が自分でそば粉を碾いていて、いちばん楽しいのが、この三番粉、つまり甘皮の部分の芬芬たるナッツのような味と香りをこうしてそのまま味わう瞬間だ。
そうそう、自分で粉にしてみないと、一番粉、二番粉、三番粉の違いなんて判らないだろうけど、これ、結構大事なことかもしれない。いわば、利き蕎麦ならぬ、利きソバ粉である。

それにしても、これは間違いなく「昨年の玄ソバ」、あるいは間違っても「乾燥過度な玄ソバ」であろう。
Yさん、なぜ、「昨年の玄ソバです」と言わずに置いて行ったのだろう。隠したって判りますよw。
とはいえ、こういうそば粉はどんな蕎麦になるのだろう? 
ちょっと結果を知りたくないような、知りたいような。

2011年12月14日水曜日

先ずは40目くらいで

年末年始を控えて少し倉庫の中を整理する必要があったので、並行して石臼でK在来を玄ソバで550g碾いた。採種用で1800gしか収穫できなかったので、これくらいしか粉に出来ない。ほんとうに試食用である。
量が少ない上に超小粒で碾き割りするのも面倒なので、直接、玄から碾いた。殻取り以外の精選用の篩を40目しか使わなかった。そのせいかホシというか皮の砕けたものがいつもより多い(脱皮機というもの、何とか自作できないだろうか……ウァーン・゚・(ノД`)ヽ(゚Д゚ )アホ~
やはり碾き割りしてそば殻を排除してから石臼にかける方が良い。

一回ではうまく篩う自信がなく、二回碾いて395gの粉が取れた。歩留まりの多いソバ粉、嫌いではないが、歩留まりは71,18%でちょっと多すぎ。

40目だと30メッシュを少し越えているはずだが、砂のような感じはするものの超粗碾きという感じではない。やはり30目(24メッシュ)の篩も欲しい。大量に製粉する時には使わないで、自分用に粗く碾く時だけ必要なので、安く小さい7寸(21cm)の篩でいい。
ひょっとすると殻取り用の20目(16メッシュ)でもいいのかな? 水さえ吸わせればいけるようなきもするのだが、前回は見事に失敗した。
まあ、先ずは40目くらいで修行してからです。

2011年12月13日火曜日

大いに迷う

晴れていたので、来年度の種を選別するためにN在来を塩水選してみた。
それでもルーペで観察するとその形状も均一ではなく、大きいの小さいの、尖ったの丸みを帯びているもの、こんなに変化に富んでいるものかと驚いてしまう。これではまた手で選別しなければダメじゃないかと思える。
それから、手早くと思ったが結構吸水してしまうもので、だいぶ膨らんでしまったように見える。また何日か天日乾燥しなければならない。

しかし、こんな雑な選別方法ではダメかもしれない。むしろ、50粒とか100粒くらい、形質の似た種を拾い出し、それを食用とは別の場所に隔離して栽培する方法の方が良いのかもしれない。
と同時に、そういう作為無しで雑多な形質のまま作り続けてゆくのもひとつの考えだし、と大いに迷う。
第一、まだT在来とK在来を蕎麦にして食べてみてないのだから、ほんとうは来年度の主力がどれなのかさえ決まっていない。

2011年12月12日月曜日

もっと粗めに碾いてもつながる?

どうやら凍っていた土が融けたらしいので、午後、Tさんのトラクターを借り出して、N在来を栽培した花園1,2,3号地をもう一度耕した。11月下旬に一度耕したが、毎週末に雨が降るような秋だったので土の水分が十分すぎて雑草が枯れなくて青々と復活再生していた。このままにしておくと春の早い段階から雑草が勢い良くなりそうなので、もう一度耕して越年しそうな雑草を根絶しておくのが目的。
これで来年春までトラクターを借りることはないので、Tさんにお礼をしなければ。

それから来年度のために数箇所、蕎麦栽培の適地を探したが、標高の高い高冷地はレタス、キャベツなどの結球野菜の栽培が盛んで残留チッソが多く、ソバが徒長、倒伏しそうでOUT、また山奥の耕作放棄地はソバ栽培地としてのロケーションはいいのだが、鹿とイノシシが多くてOUT。イノシシはともかく、鹿は収穫間際に集団でやって来て、ソバの実をバリバリ食べてしまうので、落ち着いてソバを栽培できない。結局、案外、市街地に近い耕作放棄地が候補地に上がってくることになるが、ソバ畑として周囲のロケーションは悪くなる。ロケーションでソバを栽培するのではないから、ある程度は仕方ないか。

蕎麦を知人宅に届けるために一週間の間に2回ほど続けてN在来で蕎麦を打ったが、やはりこれまでの信濃1号よりずっと強い粘りを感じる。
ということは、自分用のそば粉は「もっと粗めに碾いてもつながる」ということではないか。
この冬は、粗碾きの粉を碾いて打つ研究をしてみよう。

2011年12月10日土曜日

寒!


今朝7時過ぎの浅間山です。


この寒さが影響した訳ではないだろうが、今日の午後になって「ネットワークケーブルが接続されていません」と表示されて、インターネットに接続できなくなった。
LANケーブルがLANポートにきちんと差し込まれているにもかかわらずである。
しかも妻のパソコンや私の古いデスクトップはちゃんとつながっているので、このパソコンにだけ問題があることということです。
LANケーブルのどこかが断線したかと、別の二本のLANケーブルにも差し替えてみたがつながらない。どうもLANポート自体に不具合が生じているらしい。
再起動やら、静電気の排除など、いろいろ試したがダメだった。
仕方なく、USB・LANアダプタというものを購入して来た。一方がUSB、他方がLANポートという形のアダプタで価格1980円。
一応、CD-Rでソフトをインストールしてこのアダプタをハードとして認識させ、さっそくLANケーブルをUSBポートから接続した。
おお、ネットにつながりました。
また、このXPパソコンが生き延びました、(^_^.)

2011年12月8日木曜日

この固く気泡の多い石で

昨日、神保町の古書店より届いた、みわしげお著「石臼の謎」という本を先ほどまで読んでいて、読了した。
この本はまず1975年に初版、1977年に新装版、そして1994年に版元の名が変わって「増補 石臼の謎」として発行されている。たまたま私が入手したのは1977年の新装版である。Amazonのマーケットプレイスに5冊出品されているうちの1冊は1977年版の増補であるらしいが8000円である。出来れば増補の方が欲しかったが、神保町の古書店のは2500円であったので価格に負けた。
ただし、一応これだけの知識を得ておけば今後の石臼捜索や目立ての際には大いに役立つ。
そろそろ放置したままの33cmの石臼のすり合わせ作業も再開したいとも考えているので。
それにしても今日も用あって妻の実家に行ったが、↓この33cmの下臼の相手である上臼、どこかに無いかな。



この地元の安原石よりずっと固く気泡の多い、どこ産か判らない石臼でソバを碾いてみたいのですが、相手の上臼が無いことにはどうも。
別の臼でと加工を始めたのですが、すり合わせとふくみの調整が、難しくて放置していました。

2011年12月6日火曜日

過度の期待はしない


一昨日ネットで注文した本が、本日配達された。あるいは新本ではこの一冊が最後かもしれない。定価1260円だが、古書がすでに1980円と2890円。

早速読み始めたが、どこか理系のひとの文章は読みにくい。
もう一冊、明日にも同じ著者の本が届くはずだが、必ずしも私が知りたいことが書かれているとは限らないので、過度の期待はしないようにしておこう。
やはり自分で試行錯誤してゆくほかないのだろう。

2011年12月4日日曜日

これでいいのかな

朝のうちにN商事のIさんに約束していた蕎麦を1kg打った。午後3時に受け取りに来る約束だが、他の作業のため、早めに片付けた。
その後、一昨夜パンクしたままずっと放置してあったタイヤを外し、そのついでに、3台のタイヤをすべてノーマルからスタッドレスに交換。空気圧を調整するためにコンプレッサーを出したので、そのまたついでに自作の電動石臼とか電動篩い機とか、製粉関係の道具をエアで掃除。篩なども洗うと厄介なのでエアで吹き飛ばしておく。しかし、エアコンプレッサーでの掃除はただ吹き飛ばすだけなので、自分や周囲の物に粉が舞い散って、これでいいのかな、(ーー;)

石臼に関する本を探していたが、なかなか見つからず、たまたま見つかると7000円、8000円といった価格で手も足も出ない。
その上、古書しか無いと思っていたある本がショッピングサイトに新本の在庫があって、そんなはずはないとは思ったがオーダーをぶつけてみたら、案の定、数日してから在庫がありませんというメールが入った。めげずに他のサイトを検索したら、また新本の在庫ありの常時があって、しつこい性格なのでまたオーダーしてみた。すると今日、「ご注文いただいた商品が、予定より早くお届けできることになりましたのでお知らせいたします」というメールが着信。まさか!! 本当にそうだったらうれしいのだけど、さて???

2011年12月3日土曜日

昨夜の反省、今年の反省

昨夜の蕎麦会は、女性二人男性四人だったが、1,2kg打って(一人前を家に残して)生舟に入れて行った蕎麦をすべて食べ終えたので、まずまずほっとした。
アルコール無しの清く正しい蕎麦会でした。それでは盛り上がりに欠けるかな思っていましたが、猛烈な寒さだったので熱い冬瓜のあんかけが好評だったし、蕎麦を中心に会話も弾み、まずまず楽しい蕎麦会になりました。
ただし、勝手知らない他人の家のキッチンなので、大きな鍋があると聞いていたのにそれほど大きくも無く、うちのガス台は火力が強いと言っていたのに、いざ点火してみたら我が家のガスレンジより弱くてなかなか沸騰してこないのには参りました。かといって一人前ずつ6回茹でるのも面倒なので2人前ずつ茹でましたが、ちょっと苦しかった。
しかも茹でてみると思ったより麺が太かった。いちばん太いのはどうも2mm近くあったのではないか。
いつまで経っても切るのが下手のままなのは、本職のように毎日切っていないから仕方ないかもしれませんが、やはり1,3mmくらいの、太すぎず細すぎない蕎麦をつるっと口の中に入れたいです。
やや太いのが玉に瑕でしたが、のど越し、コシ、も先ず先ずで、風味もまあ欲を言えばきりがないというか、あまり風味を求めると苦味やえぐみも生じてしまうので、まあ、こんなものでしょう。10月2日だか3日の寒気でソバの葉が部分的に凍みたことがあったので、今年の蕎麦に特上の風味を求めるつもりはありませんが。
どうも旱魃で不作だった一昨年の蕎麦の方が風味が強くておいしかったような気がします。実(種)を付ける作物というのは、素人考えですが、ひょっとすると実入りの頃には栄養状態が100/100ではなく、むしろ70/100くらいの方がいいのかもしれない。ソバというのは無限花序で栄養成長と生殖成長をある期間並行して行っていますが、末期にはやや栄養が切れて赤すねになる方が生殖成長に傾いて、充実した種子を残すことに集中できるのではないか。ふふ、ソバたちから見れば、人間の勝手な考えでありますが、そういえば、トマトなども水分や栄養分を抑制した方が甘く味のあるトマトになるということだし。

二十時頃に解散となったが、車に乗って走り始めてすぐに右後輪のタイヤがパンクしているのに気づいた。気づいたが、気温が零度近くまで低下していて寒いので、そのままそっとずるずる家まで走らせて帰宅。タイヤはの処置は翌日ということで、そのまま家に入り、そして眠った。
そして今朝、目覚めたら何と舌の先に口内炎が出来ていて、朝食を食べても痛い、喋っても痛い
。何だ、ひとにソバをご馳走してそのお返しが口内炎とは神様もひどいじゃないですか。
そういえば「試して合点」とかいう番組で口内炎には塗り薬より嗽薬が効くというのを見た記憶があったので、嗽薬で嗽をし、口の中を漱いでみた。すると、ほんとうに効いて痛みも薄くなり、赤味も薄くなって来た。よかった、喋っても大丈夫。

2011年12月1日木曜日

いよいよ、下手の蕎麦好き

夕方、明日の蕎麦会の段取りの打ち合わせのためTさん宅へ。話しながら窓の外を見ているとちらちら雪(霙)が舞っていた。天気予報に当地域深夜に雪ダルマのマークがあった。まだノーマルタイヤなので困ります。
自分でも蕎麦を打つといっていたTさんだが、結局その気は無さそうで私が1kgほど打つことになった。辛汁も私ということになったが、返しを作ってあるので出汁をとるだけ。Tさんは相変わらず「てんぷら」と言っているが、私は冷たいざる蕎麦にてんぷらは不要。
お酒無しの蕎麦会にてんぷらだけじゃあまりにさびしいので、ふと物置に冬瓜が一個転がっているのを思い出し、冬瓜のあんかけ・柚子風味を作っていこうと思った。いい干しえびが無いのでひき肉のそぼろあんかけ。
蕎麦はTさんが二八党だし、他の客に蕎麦にうるさい人もいないようだし、ひとの家のキッチンで十割を茹でて失敗するのも嫌なので、当然二八とする。信濃1号は製粉したものはすべてひとに上げてしまったので、自分用のN在来。

そういえば、しばらく前に16目で篩ったかなり粗いのが混じった十割を試みてみごとに玉砕したが、あんな感じの粗碾きを二八で打ってみたら結構いけるかもしれないと、ふと思った。
早く、試してみたいが、そのためにはまた石臼で少量を碾かなくてはならない。日曜日、仕事は休みだが、Iさんにも二八蕎麦を打ってあげることになっているので、どうか。

2011年11月30日水曜日

発芽フェチ

昨年も同じことをしたが、妻がキムチの材料に芹を購入して根の部分を捨てたので、拾って小さな器にさして水を入れておいたら芽が出て来て茎や葉がぐんぐん伸びはじめた。
実は芹のてんぷらで蕎麦を食べるのもおいしいのだが、それは暖地で栽培された芹よりも、寒くて伸びない地の芹の方が風味が強くておいしい。しかし、その地の芹もやすやすと採ることが出来ない時代になって来た。あちこちに自生していた芹が、昨今直売所流行で乱獲されて見あたらなくなってきているのです。

町内のひとに「キクイモ」を頂戴したので、母親が「福神漬」を作った。大根、にんじん、ヤマゴボウ、キクイモ、レンコンなどで結構おいしく出来たので、目下一人暮らし中のTさんに少し届けに行った。近所のMさんにお手伝いしてもらって野沢菜洗いの真っ最中だったので、ちょっとだけ立ち話。すると「2日の蕎麦会」という。そうっだった。二度も延期されたので忘れていたが、2日は土曜日ではない。どうもTさんが2日は土曜日と勘ちがいして連絡してしまったらしい。
明日の午後打ち合わせをしたいという。お酒無しの蕎麦会だというので、打ち合わせの必要はあまり感じないが、什器とか、少しは確認しなければならない。
最初、収穫祝いと言っていたが、お酒抜きで収穫祝いは変でしょといったら、ただの蕎麦会になった。まあ、蕎麦そっちのけで延々と飲んだくれられるのも困りますが。

夕方、スーパーマーケットへ行って小麦粉(中力粉)3kg入れを購入。前回購入したものがまだ残っているのだけど、うっかりいつもと違うメーカーの「県内産小麦100%」というのを買ってしまい、どうもそれが何となく気に入らないので、以前から使っている原産地表示の無い(多分アメリカ産)の中力粉に戻すことにしました。どうも国産や県内産といった地粉の類はグルテンが弱く蕎麦のつなぎには向いていないのかな。

2011年11月29日火曜日

種フェチ


変な趣味だがルーペでソバの実を見ていると楽しい。
コンパクトデジカメでは、ソバの実を上手に接写できない。これくらいが限界。
磨きをしてない玄だったので、萼やら何やらも写っている。

2011年11月28日月曜日

今年度ソバ栽培総括・冷静編



今年栽培した4種類。個人が4種類もなんて馬鹿げているが、曲がりなりにも交配を避けて4ヶ所に分散して播いた。
しろうとのデジカメではこれが限度。
それにしても右から二番目、小さいなあ。ちなみにいちばん左側が「信濃1号」。
来年は2種類にしぼりたいが、試食が遅々として進まず。
粒の大きさは結局はタンパク質とデンプン質の比率の問題に過ぎないのかもしれなくて、だとすれば、碾き方と篩い分けあるいは一番粉、二番粉、三番粉といった粉の混合比によって風味をコントロール出来るのではないか。
と考えれば、品種にこだわるよりも、むしろ、刈り取りと乾燥の仕方、あるいは製粉の仕方を研究する方がいいのかもしれない。
信濃1号とN在来はもう5回くらい蕎麦にして食べてみているが、実は今年の蕎麦、不満である。甘皮の緑が薄い。それとパラレルに風味も薄いのだ。
来年度は本気で、刈り取りのタイミングと乾燥の仕方について、いろいろ試してみよう。

(昨夜検索してみたある県のソバの乾燥に関する文書に、常温よりも30℃の通風乾燥の方が風味と甘皮の緑色が良いと書かれていたが、本当か。青味を残すなら、薬草の乾燥のような陰干しがいいのではないかと思うのだが、今年、試してみるのを忘れてしまった)

2011年11月26日土曜日

今年度ソバ栽培総括・憤怒悲嘆篇



午前中、Tさんからトラクターを借りてN原のソバ畑を耕してきれいにして来た。
枯れたソバの茎がバリバリと音を立てて土の中に鋤き込まれ、姿を消してゆく。
これで、今年の狂乱怒涛のソバ栽培は終了である。

この畑で、Tさんといっしょに四回ソバを栽培してきたが、来年はもうここでは栽培しないことに決めた。
ソバ栽培の技術のほとんどをこの畑でTさんに教わり、また自分で考えながら身に着けて来たので、もうここでソバを作らないとなると感傷的にならざるを得ない。初めの二年は、アルツハイマー病で今は特別擁護老人ホームに入所しているTさんの奥さんの姿も畑にあった。どこかに行ってしまわないように、Tさんはトラックの助手席に奥さんを乗せたまま、ロープで車のドアを縛って播種作業をしたのだった。
「Kさんは何の歌が好き?」
Tさんの奥さんは数分置きに同じ言葉を繰り返した。
私は問われる度に「石原裕次郎の赤いハンカチ」と答えた。
あまりに同じ質問をされたので、その度に異なる答えをするのが面倒で横着をしたのだったが、たまに気紛れで別の歌手の別の歌を口にすることもあった。するとTさんの奥さんは暗い顔をして沈黙してしまうので、私はちょっとだけ自分を悪い人間だなと思うのだった。

このN原でのソバ栽培はTさんとの共同栽培であり、余剰の分はふたりとも製粉会社に売って、私はといえば電動石臼などのモーター購入資金など、製粉にかかわる機材の整備に充てて来たのだった。

しかし、今年度より始まった農水省のソバなど畑作物への戸別補償制度によって、昨年まではkgあたり350~380円だった買入価格が、製粉会社は、戸別補償で市町村から出るであろう金額の概算金であるkg当たり200円を差し引いて、kg200円という不条理な買取価格を提示したのだった。
そのことに憤慨し、私は来年度からは自分の分以外は栽培しないことに決めた。

戸別補償を申請してソバを栽培したひとは、それでは何円になったのだろう?

戸別補償を申請しなかった、われわれのような趣味的栽培者や、自家用に栽培して余った分だけを売りに行く高齢者などは、1kgたった200円で売り渡さざるを得ない。
そうやって安く玄ソバを買い取ったからといって、その製粉会社のそば粉は相変わらず1kg袋を昨年と変わらず1500円、1600円で販売しているのである。
何だ、ソバの戸別補償とはソバの自給率を上げるため、農家のソバ栽培意欲を増すために出されるのではなくて、製粉会社を儲けさせるために創設されたのでしたか。
何だかこの製粉会社が、悪代官と結託して暴利をむさぼる時代劇「水戸黄門」に登場する悪徳ソバ粉問屋みたいな気がしてなりません。
手刈りして人力で脱穀してって、江戸時代と変わらない非効率な栽培をしているんですから、仕方ありませんか。
でも、素朴に採算が合わないソバを作り続ける零細ソバ栽培農家と、素朴に蕎麦が好きで蕎麦を食べられるひとの間に、こんな業者が存在してひとり肥えていることに抗議して、私は来年度から自分が食べる以外のソバは作らないことにします。
でもそれだと残間里江子さんに揶揄された「蕎麦打ち男」に成り下がるっていうことなのかもしれなくて……それも嫌だなあ……とほほ……ウァーン・゚・(ノД`)ヽ(゚Д゚ )ナクナョ~てば。