しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2012年2月20日月曜日

柔らかい、硬い、ふわふわ、サラサラ

近所の蕎麦好きなお兄さんにうっかり石臼の話をしたら、地元の安原石(安山岩)の石臼なんか柔らかくて石の粉がそば粉に混じってしまうと笑われた。いくら柔らかい安山岩でも、一定時間空碾きでも続けない限り、物入れにソバが落ちている間は石の粉など碾きはしない。
石臼についていろいろ検索、勉強してみると、一方には硬い花崗岩、御影石製の石臼があり、その対極には溶岩やその一種である安山岩から作られた石臼が存在する。
硬く緻密な石 vs 柔らかく気泡の多い溶岩やその一種である安山岩。
そのどちらがソバ粉の製粉に向いているか? そこが良く判らない。緻密で硬い深成岩などより、多少柔らかくても気泡が多くてゴツゴツしている石の方がタタキやビシャンで叩いて粗面にする手間が省けていいのではないかと思いもする。ザラザラした石の面の方が玄碾きであれば皮の剥けもいいだろうし、粉にもなりやすいのではないか。しかも多孔質で気泡が多いので熱が上がりにくい。ただし、石臼としての見てくれは無骨で花崗岩や御影石の石臼のように洗練された感じはしない。

ということで、蟻巣石という過去に山梨県で産出したらしい、その名の通り細かい気泡の多い石で作られた石臼がいいといわれているが、ネットで検索する限りでは蟻巣石が山梨県のどこで採掘され、どんな石なのか、まったく姿が見えてこない。
あちこちの蕎麦店で蟻巣石の石臼を使って製粉しているという情報はあるが、どうもこれがほんとうの蟻巣石かと納得出来るような石臼が、通常の検索でも画像検索でも浮かび上がって来ない。山梨県産ではなく、新蟻巣石と称されているものばかりのような気がする。どうも気泡が小さすぎるような気がするのだが、あれが蟻巣石なのか。
ネットで検索しても埒があかないので、図書館に行って調べてみることにします。

そういえば、昨年、石臼で手碾きしているプロの方の蕎麦をいただく機会に恵まれたので、「石臼で碾いたそば粉はふわふわしていますよね」と言ったら、怪訝な顔をされた。
そのプロの方は石臼で碾いたそば粉しか知らず、ロール式や金臼式の製粉機で製粉されたそば粉を知らないから比較のしようがなかったのかもしれませんが、ほんとうに石臼で碾いたそば粉はふわふわしているのです。ロール式や金臼式の製粉機を通過したそば粉はサラサラしていますが、石臼で上手に碾かれたそば粉は粗いのや細かいのが繊維のように入り混じっている上に、空気も含んでいて、それでふわふわしているのです。
それを握るとぎゅっと締まって形が崩れない。
そういうそば粉に私はなりたい。あ、間違えました(宮澤賢治じゃあるまいし)。
そういうそば粉を私は碾きたい。
安山岩にしては硬く、なおかつ細かい気泡がびっしりで、面がザラザラしている石臼、どこかに転がっていないかな、と思いつつ、毎日車を運転しています。
以前、オヤマボクチを探していた時に、慣れると瞬時に、山道の切通しの斜面に群生しているのがオヤマボクチか山蕗か判断できたものですが、今も車を運転しながら農家の庭先の物干し台の重石になっていたり、不要になった庭石の山のなかに置かれていたりする石臼にぱっと視線が行きます。いちばん悲しいのは庭に踏み石として埋め込まれている石臼を目にした時です。そういう場合、私は踏み石にされた石臼の上を歩かないようにきわめて意識的に避け、埋められた石臼の来歴に思いを馳せながら、歩きます。
かつてその家の累代の者たちの「食」を支えた石臼たちが、今やただの庭の踏み石として老残をさらしている、そんな風にしか見えない私の方がよほどどうかしているんでしょうね。

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