しろうとが、ああだこうだと、いろいろ愚行錯誤(!?)しております。

2014年2月7日金曜日

ふっくらしたソバと痩せたソバ

北海道の蕎麦友達のMさんが、ご自身のWebsiteに、書かれたのが江戸時代だからとうに著作権が消滅している日新舎友蕎子の「蕎麦全書」を順次アップロードされている。
そこで、手持ちの新島繁校注・藤村和夫訳解の現代語訳のついた「蕎麦全書」(ハート出版)を再読し始めた。

その「深大寺蕎麦の事」に……深大寺そばの甘美なるを重しとして嫌ひ、却て奥州南部より出るそば、其味淡くして、其性の軽きを好む人あり……と書かれており、深大寺ソバはその実が充満していて挽き抜き一升でそば粉が一升一、二合も取れるが、奥州南部の蕎麦は一升で七、八合しか取れないとも記されている。
またこの項の訳解で藤村和夫さんは次のように書かれている。
……深大寺の蕎麦が「少し形が異なった」というのは、粉の取れ方から見て、丸っぽかったのではないでしょうか。以前は、南方産と北方産の玄ソバを比べると、南方のものは見るからに痩せて、稜間が凹んでいるのに対し、北方物はそれに比べるとはるかにふくらみ、丸々としているので、蕎麦製粉業者も、歩留まりは良いし、いろもきれいで、味も良いところから、もてはやしています。もっとも、あまり北過ぎて気温が低いままでは駄目で、一日の気温差が大きく、暑からず寒からずの場所が良いようです。……

面白いですね。江戸時代の深大寺ソバはふっくらしていたんですね。
それから南方産は痩せて稜間が凹んでいて、北方産がふっくらしているというのも興味深いです。
南方産がなぜ痩せて稜間が凹み、北方産はなぜふくらんでるのか? 
答えはやはり昼夜の温度差なのでしょうね。
昼夜の温度差が無い南方産がなぜ痩せているのか?
他の植物同様にソバもまた日中に光合成して水と炭酸ガスと光エネルギーでもって糖を作り、その糖を夜間に受粉した実に送り込み、さらに糖からデンプンに身を変えながら実を太らせてゆきます。
昼夜の温度差がないと、夜間のソバの茎や葉の呼吸が激しくなります。呼吸が激しくなると実に送られた糖が茎葉に逆流して呼吸のために消費されてしまいます。
昼夜の温度差がある高冷地では夜間の茎葉の呼吸は静かに行われているので、昼間に光合成された糖のほとんどがソバの実に送り込まれます。

緯度が高い場所や標高が高い場所で育つ玄ソバがなぜふっくらしているか、緯度や標高が低い場所で収穫される玄ソバがなぜ痩せているか、そういうことだったんですね。
そういえば、カボチャとか果樹なども昼夜の温度差がある場所の方がホクホクしていたり甘みが強くなると言いますから、何の作物も温度差が必要なんですね。
ソバ栽培も標高800m以上1000mくらいの間が最適なのかもしれませんが、ああ、ここは少し足りません。

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